内容説明
「わしの目には十年先が見える」「新事業は、十人のうち二~三人が賛成したときにはじめるべきだ、七~八人が賛成したときには、遅すぎる」―経営者と社会事業家の二足のわらじを履き続けた大原孫三郎。クラボウやクラレなど、多くの企業の創立・発展させるとともに、町づくりに貢献。三つの研究所を設立し、総合病院や美術館をつくった。社会改良の善意をいかにして行動に移していったか、その波瀾にみちた生涯を辿る。
目次
第1章 使命感の誕生―反抗の精神を培った十代
第2章 家督相続と企業経営―倉敷紡績と倉敷絹織
第3章 地域の企業経営とインフラ整備
第4章 地域社会の改良整備―市民の生活レベル向上のために
第5章 三つの科学研究所―社会の問題の根本的解決のために
第6章 芸術支援―大原美術館と日本民藝館
第7章 同時代の企業家たち―渋沢栄一と武藤山治
第8章 晩年と有形無形の遺産
著者等紹介
兼田麗子[カネダレイコ]
1964年、静岡県下田市生まれ。2004年、早稲田大学大学院社会科学研究科博士後期課程単位取得退学。博士(学術)(早稲田大学)。現在、早稲田大学日本地域文化研究所客員准教授。専攻、社会・経済・経営・政治史、および思想(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カモノハシZOO
8
何とまあ検索しづらい、そっちの都合でしょう腹が立つ、この年にして電脳的文盲、生きる術は無いのか。嗚呼こんな事ばっかり何で旧なのだ、馬鹿にしている腹が立つ。違う?孫三郎さん。2022/10/01
ジュンジュン
8
「善意で山は動かない。戦略が山を動かす」(ドラッカー)。善意と戦略、社会貢献と利益追求を両立させた二刀流経営者伝。岡山は倉敷のローカルヒーローは、渋沢栄一に似てるけど、ちょっと違う。それは公利の重視。幕末志士として国を憂えた渋沢と、キリスト教的ヒューマニズムに基づく”人間らしい”幸福を追求した大原。その違いは、年齢差40歳が生んだジェネレーションギャップ、著者曰く「天保の老人」と「明治の新青年」と命名してた。2021/11/12
nonchaka
2
アイビースクエアが、紡績工場の建物だったことは知っていましたが、煉瓦の外壁に絡まる蔦(アイビー)が、工場で働く女工さんたちの労働条件改善のためにあった(工場内の温度管理)とは。彼のやってきたことの何もかものスケールの大きさに、アハ体験満載。時代が違うので、彼の功績の本当の意味を理解することは難しいとは思いますが。地味におもしろかった。2013/02/08
富士さん
2
専門学校の先生が大原孫三郎のファンで、お話しを聞いているうちに興味を持ちました。偽善的で身勝手で目先の事しか興味のない人間で構成されている世界が曲がりなりにも安定を保てるのは、こういう人がいるからなのだろうと思います。身銭を切って社会に貢献することによって、我を通して私利を得る。正に老子の言うように、何かを得たければまず失うこと、ということでしょうか。人に迷惑をかけないなんてケチなことを言わない、嫌がられて感謝される、このようなエゴこそが真に雅量というべきです。2013/01/07
すのす
1
倉敷に行くことがあったので、頭の中を倉敷モードにするために読了。実際には、倉敷を離れてからも芹沢銈介や河井寛次郎の作に触れるにつれ、共通項としての大原は興味が深まるばかりだった。本書は、生まれてから亡くなるまで、各所で言及されている大原孫三郎の生き様や取り組みを、簡潔にうまくまとめている。また、現代とのリンクも折に触れて言及し、過去の歴史にとどまっていないことをよく感じさせる。倉中の中しかり、各研究所が今も存続していること然り。渋沢栄一や武藤山治との比較もあるが、やはり傑出した人物だった。2025/03/23
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