中公新書<br> 残留日本兵―アジアに生きた一万人の戦後

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中公新書
残留日本兵―アジアに生きた一万人の戦後

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  • サイズ 新書判/ページ数 252p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121021755
  • NDC分類 210.75
  • Cコード C1221

内容説明

「恥ずかしながら帰って参りました」―。残留日本兵といえばすぐに思い浮かぶのが、横井庄一や小野田寛郎、そして、“水島上等兵”。彼らの苦難の歳月は、自伝をはじめ多くの書籍や映像で描かれてきた。だがいずれも悲劇の英雄として語られ、時々で話題を集めたにすぎない。本書は、アジア各地で綴られた全記録を辿り直すことで、「大日本帝国崩壊後」の残留日本兵たちの真の姿を明らかにする、初の試みである。

目次

序章 「恥ずかしながら」と言わせた戦後日本
第1章 残留日本兵の発生
第2章 さまざまな状況下での決断
第3章 大国との闘争―ベトナム・ラオス・カンボジア
第4章 「解放の英雄」の光と影―インドネシア
第5章 現地に適応する術―タイとビルマ
第6章 国共両軍に分裂して戦う―中国の動乱の最中で
第7章 帰国を望まない人―その他の地域
終章 一万人の戦後史

著者等紹介

林英一[ハヤシエイイチ]
1984年生まれ。2012年、慶應義塾大学大学院経済学研究科後期博士課程単位取得退学。現在、日本学術振興会特別研究員(PD)。2005年度慶應義塾大学塾長賞、2006年度日本学生支援機構優秀学生顕彰事業学術分野大賞、2009年度三重県文化新人賞、2011年度日本学術振興会育志賞を受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

nnpusnsn1945

24
 中国空軍が日本陸軍に鍛えられ、朝鮮戦争のエースを輩出していたのは驚きを隠せない。防空識別圏で問題になるが、創設経緯を知ると皮肉である。なお、指揮官の林弥一郎少佐は、兵隊からの叩き上げであり、撃墜数は桂林空戦で5機であった。しかし、山西省の残留や、植民地出身者や、戦犯から逃れた者は苦難の連続である。インドネシア独立に関わった兵士等を忘れないのは大切だが、日本の支配や戦争目的の聖戦化までするのはお門違いである。残留日本兵にも多様な人間がいることを頭の片隅にでも入れておくと良い。2020/10/19

モリータ

12
◆2012年刊。著者は現・二松学舎大学講師、刊行当時は学振PDだが単著が5冊以上(!)。専門は日本近現代社会史、特にインドネシアの日本軍の状況を研究されているようだ(本書の記述もインドネシアの章が最も多い。◆約1万名と推計される残留日本兵のうち、100名の個人史を元にパターンを分析する。1,2章で残留日本兵の発生要因を属性(将・兵・軍属・植民地出身者)ごとに記述したうえで、各地域(3章でベトナム・ラオス・カンボジア、4章でインドネシア、5章でタイ・ビルマ、6章で中国)の残留日本兵の辿った道を記述していく。2021/05/31

dongame6

6
「復員しなかった一万人の日本兵」を個々のケースごとに追跡し、残留した地域、その動機、軍での階級、立場ごとに観察する事によりその実態に迫った本。横井庄一や小野田少尉の印象で、或いはムルデカといった思想に寄った視点で語られる事が多い残留兵について新しい知見を得られた。特に、アジアの各勢力が戦後の独立運動に日本兵という人的資源をどう利用し、時代の推移と共にどう変えていったか。また戦後日本が「日本兵」に何を求めたか、の二点が興味深かった。日本軍という高潮が引いた時アジアに何が残ったのかの一端が垣間見えた気がした。2012/10/08

saladin

5
”残留日本兵”と言えば、横井庄一・小野田寛郎らのイメージ。しかし、それはメディアによってステレオタイプ化されたものであり、著者はそこからの脱却を図ろうとしている。そこで本著では100人の”残留日本兵”の実例が挙げられている。確かにそれらを羅列しただけという批判は当たっているかもしれない。だが、敗戦後、現地に留まった理由は人それぞれであるという言われてみれば当たり前のことを、根拠をもって示したこと自体に意義があるのではないだろうか。2023/04/06

Ted

4
'12年7月刊。△大東亜戦争で日本が進出した広大な地域で戦後も残留した元日本兵や軍属、民間人の経緯を広く浅く網羅しているが、事例の羅列ばかりで深い考察がないためやや退屈。自ら望んで残った者から止むを得ず留まった者、半ば強制や脅迫によって残留した者まで、その国での事情や本人の身分(軍隊での階級や学歴や職業)や能力(語学力や専門知識や人脈)により事情は様々である。総じて若い下級兵士が現地妻とできてそのまま…というパターンが多かったようである。2020/04/26

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