出版社内容情報
子どもはどうやって自立心や自信を身につけ、考えを主張できるようになるのか。親はそのために何ができるのか。教育学の見地から探る
内容説明
自分の頭で考え、はっきりと意見を言える子どもに育ってほしいというのは親の自然な願いだろう。しかし、自己主張の発達と深く結びついている「自尊心」は、謙虚さが賞賛される日本において、常に歓迎されるとは限らない。そこに矛盾があるとしたら、自己主張できる子を育てるためにはどうすればいいのか。日本人独特の自尊心を考察し、教育学の視点から、保護者の価値観の影響や、子どもの成長との関わりを明らかにする。
目次
第1章 セルフ・エスティーム(自尊心)
第2章 日本人とセルフ・エスティーム
第3章 セルフ・エスティームと自己主張
第4章 小学生の自己主張とセルフ・エスティームの発達
第5章 母親の価値態度と子どもの自己の発達
第6章 日本人の子どものセルフ・エスティーム
終章 文化と自己の発達を巡る一考察
著者等紹介
佐藤淑子[サトウヨシコ]
1955年富山県生まれ。ハーバード大学教育大学院修士課程修了、ロンドン大学教育研究所博士課程修了。Ph.D.(教育学)。現在、鎌倉女子大学児童学部児童学科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
カピバラ
34
日本のお母さんは、甘いようで厳しく、厳しいようで甘い…か。自分の子どもには、ほどほどのセルフエスティームを身につけてもらいたいものです。自尊心は大事。2017/03/06
Riopapa
6
日本人は自尊心が低いと言われるが、文化的な要因が大きい。母親の影響が強いらしい。日本人は、達成動機と親和動機に相関があるらしい。2019/03/31
わいわい
5
自尊心(セルフ・エスティーム)は、生きていく上で大事なもの。しかし、日本人は低い傾向にあると言われている。自尊心を考えるには、大きく分けて「外的」要因と「内的」要因に分けられるのかな。特に日本人は「謙遜」「集団」の文化が根付き、成功しても表向きには喜べない。そして、親の子どもへのかかわり方でずいぶん発達が違うそうな。また、これも社会的背景である男らしさ、女らしさへの希求が影響しているよう。とにかく、失敗しても温かい声掛け、温かい人間関係が大切です。2015/05/10
だいすけ
3
「自己主張する傾向が高い学生は自我の強さを認識し、自分がこれまで成し遂げてきた努力を自分自身で評価しており、逆に不安感や他者への依存心は低いことが明らかになった。」「自分の有能感と他者からの受容の両方、言い換えれば達成動機と親和動機の両方に根ざしたセルフ・エスティームがより堅牢であることは確かである。」これらのことから、自己主張できる子どもを育てるためには、子どもが堅牢なセルフ・エスティームを築くことの手助けをすることが有効と言える。2019/04/21
mako
3
「自尊心」からうまれる「自己主張」が、日本の社会で求められる謙虚さに反するものだとしたら…だけど、他のいくつかの国では非常に重要なものだとしたら…。目標とする世界(場所、ひと)を、どこに置くかにもよるのかな。バランスをとるのは難しいだろうな2013/09/05
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