出版社内容情報
潮が引くまで酒を一杯――鎌倉期の貴族の紀行文をもとに、最新の発掘調査の成果も取り入れ、旅路の風景・生活を具体的に再現する
内容説明
弘安三年(一二八〇)十一月、ひとりの貴族が馬に乗り、わずかな随伴者とともに東海道を京から鎌倉へと向かっていた―。中世の旅路は潮の干満など自然条件に大きく左右され、また、木曾三川の流路や遠州平野に広がる湖沼など東海道沿道の景色も、現在とはかなり異なっていた。本書は鎌倉時代の紀行文を題材に、最新の発掘調査の成果などを取り入れ、中世の旅人の眼に映った風景やそこに住む人々の営みを具体的に再現するものである。
目次
序章 干潟をゆく―鳴海
第1章 旅立ち―京・近江
第2章 乱流地帯をゆく―美濃
第3章 湖畔にて―橋本
第4章 平野の風景―遠州平野・浮島が原
第5章 難所を越えて―天竜・大井・富士川、興津
第6章 中世の交通路と宿
終章 中世東海道の終焉
著者等紹介
榎原雅治[エバラマサハル]
1957(昭和32)年、岡山県生まれ。東京大学大学院人文科学研究科博士課程中退。東京大学史料編纂所助手、同助教授を経て、同教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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イツシノコヲリ
7
再読。紀行文を元に潮位変化などの地学的な分析も利用しながら中世の東海道を明らかにする。読みやすくて面白い。高校生のときに古本屋で250円で購入したが、補論もある改訂版の『読みなおす日本史』で2420円で販売されているので、それも新たに購入しようか迷う。2023/03/03
月猫夕霧/いのうえそう
5
中世の東海道を中世に書かれた文献からルートや景観を再現していこうという内容です。こういう話は好物です。室町時代の東海道は干潟を干潮時刻に合わせて突っ切ったり、川を浅くて流れの緩い場所を選んで突っ切ったりと中々ワイルドです。あと江戸時代になって本格化する湿地の干拓が行われる前なので様々なところが干潟だったり湿地帯だったことが文献からも見えてくるというのが面白い。静岡県磐田まで太平洋から船で行けたとは驚きです。ちょっと当時の地形を地理院地図のフォーマットで描いてみたいなどと思いました。2024/05/19
Hiroki Nishizumi
4
当時の暦から潮汐をも知ることが出来るとは、便利な世の中になったものだ。砂丘海岸に潟湖が多かったことや浜名湖はかなり以前から汽水湖だったことなど、興味をそそられる内容も多く楽しめた。2017/02/09
自由人
4
自然科学者の考え方と歴史学者(筆者)の考え方・・アプローチの違いがわかる本だと思います。2009/09/10
天茶
3
★★★☆☆2021/01/09
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