出版社内容情報
なぜ名医と新米医とで治療費が同じなのか。医療に市場原理が適用できないのはどうしてか? 医療の仕組みと特質を経済学の視点で分析
内容説明
よい病院とわるい病院を見分けるにはどうすればよいだろう。レストランや車なら、高い値段のものが質もよいと考えればほぼ間違いはない。しかし医療では名医でも新米の医者でも値段は一緒であり、経済法則は働いていないように思える。では、なぜ医療の値段は同じなのか。本書は、医療が持つこのような特徴を、「情報の非対称性」「市場の失敗」等の視点から経済学的に分析し、今後の医療制度改革の方向性を提示する。
目次
第1章 医療経済学を理解するために
第2章 医療経済学の経済学的基礎
第3章 医療経済学とはなにか
第4章 医療と最新の経済学
第5章 医療の仕組みを経済学で分析する
第6章 医療のプレーヤーとその行動―医療経済学の視点による分析
著者等紹介
真野俊樹[マノトシキ]
1961年(昭和36年)、名古屋市生まれ。87年、名古屋大学医学部医学科卒業、コーネル大学薬理学研究員を経て、2000年、イギリス・レスター大学大学院でMBA取得。多摩大学医療リスクマネジメントセンター教授。医学博士・経済学博士・MBA。専攻・医療経済・経営学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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佐島楓
19
読む順番を間違えた。「入門 医療政策」よりこちらを先に読むべきだったのだ。前述した本より、こちらのほうがより経済学的なアプローチがなされており、一般経済学の復習として役立った。医をサービスとする考え方は、まだ日本人全体には受け入れがたい面もあるのだろう。2012/11/22
Kentaro
7
医療経済学は医療という生命に関する財を扱うために、倫理学、哲学、社会学との接点が強い。 次に、扱う対象が、非常に幅広い。それは費用保障の仕組みである保険システムや、希少な資源である医師をはじめとする医療従事者、医療の周辺分野である介護、更に、医療技術を扱う場合には薬剤、バイオテクノロジー、医療危機といったものも含まれる。 日本では医療経済学が認知されるようになってから日が浅く、経済学者の関心が薄かったり、逆に医療従事者が経済学のトレーニングを受けていないために、包括的に医療経済学を扱うのには困難があった。2018/10/31
Schuhschnabel
5
入門と銘打っている割にはやや硬めの印象。医療経済学の入門書としては河口洋行『医療の経済学』の方がよいだろう。ただ、なぜ医療という分野はこれほどまでに規制が張り巡らされているのかを理解することはできた。2017/09/22
いつき
5
これは酷い。関係ありそうで本質的に関係なかったり、関係あっても枝葉末節の説明ばかりで、何を伝えたいのかさっぱりだった。無駄に分かりにくい言葉を使うところもマイナス点。著者の遍歴は知らないが嫌でも読んでもらえる教科書ばかり書いてきた大学教授的な甘えが見える。まずは対象読者をはっきりさせるところから。2章まで我慢して読んだけどいっこうに本題に入らないため、以降流し読みし、最終章までなにも変わらなかった2013/06/20
Yapuppy
4
冒頭から【「医療」というものに対峙して「医学」というものがある】とか書かれるとこれは思想書なのかなと思うしほんまかいなと思う。医師免を持つMBAの意見としては真っ当なのか?こういう人が増えると混乱が増すような気がする。診療報酬体系は制度的に限界があり検討が必要、国民皆保険は維持すべし、保険診療でどこまでやるのか十分に検討すべし、ローカル・ルールを地域ごとに作っても良い と思う。医療をサービスとする是非を論じるのは無意味で、そこに必要なのは思想ではなくサイエンスであり、節度とお金の計算だ。2013/01/06