内容説明
ローマ、テーヴェレ河畔に威容を誇るカステル・サンタンジェロ(聖天使城)は、紀元二世紀に皇帝ハドリアヌス自らの陵墓として築かれて以来、数々の歴史的事件に立ち会ってきた。本書はハドリアヌス帝、大教皇グレゴリウス、ロレンツオ・デ・メディチ、画家カラヴァッジョら八人をとおして、古代ローマ帝国の最盛期からバロック文化が咲き誇った十七世紀までの千五百年を描く、もうひとつの「歴史=物語」である。
目次
第1話 皇帝ハドリアヌスの物語
第2話 大教皇グレゴリウスの物語
第3話 マローツィア夫人とその息子たちの物語
第4話 異端者アルナルドの物語
第5話 教皇ボニファティウス八世の物語
第6話 ロレンツィオ・デ・メディチの物語
第7話 航海者コロンボの物語
第8話 画家カラヴァッジョの物語
著者等紹介
藤沢道郎[フジサワミチオ]
1933年(昭和8年)、京都に生まれる。1957年、京都大学文学部卒業、同大学大学院文学研究科言語学専攻博士課程修了。桃山学院大学名誉教授。イタリア史、イタリア文学専攻。『マキァヴェッリ全集』(共編訳、筑摩書房、1999~2002)により、第10回ピーコ・デッラ・ミランドラ翻訳賞受賞。2001年9月30日没
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感想・レビュー
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ケイ
129
2世紀のハドリアヌス程の頃から17世紀まで。ローマの最盛期も没落も描かれるから、そこはこたえる。読みどころは、やはりメディチやカラバッジョのあたり。その頃のフィレンツェを見てみたいものだ。2017/02/19
ケイ
110
舞台はまずローマから。2世紀の賢帝であった皇帝ハドリアヌス。その450年後の偉大な大教皇グレゴリウス。10世紀になるまでには、イスラムの台頭によるキリスト教世界の版図は半減し、イタリアはイスラムからの攻撃の矢面に。教皇政治は腐敗。そんな中で現れた美しいマローツィアの野望と失墜。12世紀に現れた、腐敗したカトリック教皇からは異端者とされたアルナルド。次にフランス王を敵にして失敗した教皇ボニファティウス。メディチにコロンブスにカラバッジョ。特にメディチについては、随分とわかった気になった。2020/12/12
ケイ
107
この度、ヴァチカンを訪れるにあたって再読した。最初の一行が、私に取り憑いて離れなかった 「ローマを訪れてカステル・サンタンジェロ(サンタンジェロ城)を見なかった人はまずあるまい」。ヴァチカンのサン・ピエトロ大聖堂からほどない所にある。サンタンジェロ城の重い存在感は、サン・ピエトロの聖の雰囲気とは対をなすものであったが、地下で繋がっているらしい。また、カラバッジョの絵についても詳しい。彼の絵を探しにローマを歩いた。教会でみた時の感覚は、サンタンジェロ城の重さに通じるなと感じた。2023/03/17
Nat
25
今回は聖天使域の物語。世界史では、詳しく学ばないことばかりでしたが、とても面白かったです。カラヴァッジョの第8話を読んで、年末に大阪のカラヴァッジョ展を見に行きたい思いが高まりました。2019/01/27
健
14
今回は8人の登場人物の人生が展開されていてなかなか面白かった。ただ、元々NHKの『イタリア語講座』のテキストに連載された『人物で語るイタリアの歴史』を、藤沢さんがお亡くなりになった後に『物語 イタリアの歴史II』として纏められたものなので、通史というより歴史点描と言った趣が強い。今回は主な舞台をローマに定め、繰り返し聖天使城が出てくるなどの工夫が凝らされていて、点描とは言え楽しく読み進めることが出来た。藤沢さん監修の『マキャヴェッリ全集』も気になってきた。図書館で調べてみよう。2022/09/17
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