内容説明
二〇〇四年五月の拡大により、二五カ国、人口四億五〇〇〇万、GDP一〇兆ドルとなった欧州連合(EU)は、グローバル化時代に、新たな挑戦の時を迎えている。新加盟の一〇カ国は、民族も政治も多元的であり、「ヨーロッパとは何か、どこまでか」が問われている。多元的欧州はアメリカを超えるパワーとなるか。逆に、多様性は内部統一を困難にするのか。米欧主導時代の幕開きの中、日本はどう振る舞うべきかをも展望する。
目次
序章 なぜ今、ヨーロッパ拡大なのか
第1章 ヨーロッパ統合の歩みと拡大の現実
第2章 NATOの拡大―コソヴォからイラクへ
第3章 「民主化」の苦悩―拡大される側の実態
第4章 ヨーロッパの新たな境界線と民族
第5章 バルカン地域でのヨーロッパ拡大
第6章 イラク戦争とは、欧州にとって何だったのか
第7章 二一世紀の拡大ヨーロッパ戦略
著者等紹介
羽場久〓子[ハバクミコ]
1952年神戸市に生まれる。津田塾大学大学院国際関係学研究科博士後期課程修了。学術博士。ハンガリー科学アカデミー歴史学研究所、ロンドン大学スラヴ東欧研究所、パリ大学国際関係史研究所客員研究員。法政大学助教授を経て、94年より法政大学教授。専攻、国際政治史、EU・NATOの拡大、中・東欧政治史、民族問題、冷戦研究
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感想・レビュー
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KAZOO
121
拡大ヨーロッパいわゆるEUになる前のヨーロッパ事情とその歴史的な経緯をわかりやすくまとめてくれています。またとくにヨーロッパにとってのイラク戦争などがどのような意味合いを持っていたのかも理解できます。かなりの参考文献も今後勉強するにはいいビブリオグラフィーです。2016/06/01
佐島楓
14
2004年5月のEU拡大後に書かれたもの。既知の問題をなぞる形であったが、その中でも「ヨーロッパのアイデンティティ」と「EU加盟国の境界線によってマイノリティが新たな問題を抱えるようになった」というふたつの視点に注目して読んだ。全体的にとても丁寧な新書。2013/12/01
マッキー
0
EU域内の保安は域外の治安悪化と裏表の関係にある。2010/09/13