中公新書
快楽の本棚―言葉から自由になるための読書案内

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  • サイズ 新書判/ページ数 240p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121016782
  • NDC分類 019
  • Cコード C1292

内容説明

言葉から自由になりたい。物事の本質をつかまえるために、自分という生命を喜ぶために。『孝女白菊の歌』から『チャタレー夫人の恋人』、そしてフォークナーの世界へ。海流のように、竜巻のように渦巻き、再生しつづける物語の世界。言葉と人間、人間と物語、そのつながりには、希望を失わずに生きつづけようとする、ひとりひとりの人間たちの息吹がある。美しく静かな言葉で、著者は物語の意味を問い直す旅に出かける。

目次

魔法の世界―幼年時代
おばけの話―小学時代(1)
言葉を遊ぶ―小学時代(2)
アガペとエロス―中学時代
「危険な」小説―『ベラミ』
性の修行者―『好色一代男』
神々から人間へ―『源氏物語』
猥褻か、芸術か―『チャタレー夫人の恋人』
同性愛―サッポーとワイルド
タブーとは?―『悪魔の詩』と『細雪』
神々の時間の「発見」―フォークナー、そして辺境の文学
もうひとつの世界―『ギルガメシュ叙事詩』からどこへ

著者等紹介

津島佑子[ツシマユウコ]
1947年(昭和22年)東京生まれ。白百合女子大学文学部英文学科卒業。作家。田村俊子賞、野間文芸新人賞、川端康成文学賞、谷崎潤一郎賞などを受賞
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

浅香山三郎

13
読んできた本で語る著者の半生の記。その歩みは、社会・学校・世間・常識といつたやうなことを読書といふ経験によつて疑ふことでもあつた。津島佑子さんの本は初めて読んだが、もつと読みたくなつた。2018/05/01

まろにしも

8
★★★★ 個人的な欲望と社会が求める規範との間には乖離があり、人それぞれがこの世の中に対してはある種の生き辛さを感じている。人はその生き辛さに耐えられなくなると犯罪を犯すか、心の病に罹ると「ものぐさ精神分析」にはあった。ここに文学の意義がある、と著者は語る。「文学とは、人間が人間であることに希望を失わずに生きるために必要な、現実の世界に付き添い続けるもう一つの世界なのだ」2015/06/28

Minamihama

7
ここに紹介されている本のうちの何冊をこれから、生きている間に、読むことができるのだろう。ため息とともに読了。 2019/12/03

sae

5
【図書館本】テーマは「時間」であり、「快楽」。巻末にも書かれているように「読書案内」ではないが、今までと違った視点でいわずと知られた名作や新たな本との出会いがあって面白かった。 追記:父親が小説家であった、と本文中にあったのを何とはなしに読んでいたけれど、その父親が太宰治であったと知ってびっくりした。と同時に新たな興味が湧いてきたので再読を重ねたい。2014/08/02

はりゅうみぃ

5
過去を振り返ることは、未来を見据えることでもあるのだと思う。著者はこれを書いたことで、晩年の準備をし始めたのではない。還暦という言葉があるように、原点に戻ることでこれからの道標をはっきりと見つめたかったのだ。言葉を尽くして過去を振り返り、言葉にしない未来の決意を胸に刻んだのである。言葉から自由になる。自由が言葉から生まれる。それが物語だ。巷には本が、物語があふれている。選ぶ自由。選ぶ快楽。それが私を作る。2010/07/22

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