中公新書
暮らしの世相史―かわるもの、かわらないもの

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  • サイズ 新書判/ページ数 243p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121016690
  • NDC分類 210.6
  • Cコード C1236

内容説明

少し前までの日本では、物売りの声がうるさいくらいに家々の前を過ぎていった。豆腐売り、刃物研ぎ、しじみ売り…。モノの売買にとどまらない行商人と客の間のやりとりには奇妙な信頼関係さえこめられていた。スーパーやコンビニが席捲する現在は、むしろ古代の「沈黙交易」に退行しているのではないか―。衣食住、ことば、宗教など、近代化する暮らしの中の「連続と非連続」を的確に捉える新しい庶民生活史の誕生。

目次

市の風―あきんどの今昔
木綿以後の事
住まいと家財―「物持ち」の変貌
日本語の敗北
「出家」と「脱家」―「餓鬼」の時代
日本のなかのアメリカ―四年間の禁断
終末と再生―「世直し」の系譜
「饒舌列島」日本の言論
現代「異人」考

著者等紹介

加藤秀俊[カトウヒデトシ]
1930年(昭和5年)東京都生まれ。一橋大学卒、ハーバード大大学院留学。京都大学人文科学研究所、同教育学部、アイオワ大学、学習院大学、放送教育開発センター所長、中部高等学術研究所所長などを歴任して現在日本育英会会長、国際交流基金日本語国際センター所長。社会学博士
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

てくてく

7
スーパーに行くのではなく、家にいて物売りから食品などを買うことが出来たこと、服をつくること、戦時中でもハリウッド映画を楽しめたこと、新興宗教と世直しなど、少し前の時代の世相を描いている。2015/08/09

S_Tomo🇺🇦🇯🇵

5
元は雑誌に不定期連載されていたエッセイをまとめた一冊。国の大事や権力者の生活については何らかの記録はあるものだが、こと庶民の日常的な「暮らし」については当たり前すぎてむしろ後世には記録が残っていないもの。普通の日常について様々な資料を元にまとめている。今は服は買うのが当たり前だが、40年ほど前は母親が子供服を作るのも珍しい事ではなかったし、より遡れば布さえ機織機で織っていた訳で。そう考えると今の「当たり前の生活」も数十年後には全く別のものになるが、それも連続した流れで変わるものだという事を示す一冊。2015/01/18

かわかみ

4
柳田国男の「明治大正史世相篇」を範として昭和前期くらいから現代に至る特徴的な世相の変遷を社会学的に読み解いた書で面白かった。その面白さの一端は既に昭和の世相が埋もれつつある実態にもある。例えば、アメリカ文化または文明が日本に受容され始めたのは決して戦後ではなく昭和初期からだったこと、日本人はもともと寡黙な国民だったのがTVの普及とともに饒舌になったのに却って言葉の自粛によって言論に制約を与えるようになったこと、柳田も重視したイエという観念は庶民の間ではさほど強固な伝統ではなく衰微変質しつつあること、など。2022/10/16

おらひらお

3
2002年初版。漫然と暮らしていると気づきにくい世相の変化を概観したものです。連載をまとめたものなのですが、時期を置いての連載だったので、各章のつながりが悪いのが難点でしょうか。ちなみに中公新書刊行の言葉はこの著者が書いています。2012/11/24

ダージリン

2
若干雑多な内容でまとまりに欠けてはいるが、当たり前だと思っていたことが、最近の風習であることが分かったりで、意外な思いをすることが多く面白かった。「先祖代々之墓」という刻銘の出現が明治に入ってからとは思わなかった。日本人の基本的な精神性は変わっていないと思うが、暮らしの様相は時代と共に結構大きく動くのだという思いを強く持った。2017/05/09

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