内容説明
ハワイ―世界中の観光客を魅了する太平洋の美しい島島。十八世紀以来、欧米、そしてアジア諸国から多くの移民が来島し、定着・活動してきた。しかし、異人種、異文化との接触が、ネイティヴ・ハワイアンに苛酷な歴史を強いてきたことも忘れてはならない。本書は、日本との交流に光をあてながら、楽園イメージの奥に横たわる、もう一つの現実を浮かび上がらせ、ハワイ文化の力強い流れを描き出すものである。
目次
第1章 移民たちのハワイ(サトウキビとピクチャーブライド;移民到来;日本人移民の生活;戦後の日系アメリカ人)
第2章 リメンバー・パール・ハーバー(パール・ハーバー攻撃の日;戒厳令下のハワイ社会;戦時下の日系人;戦争の言説)
第3章 「憧れのハワイ航路」(日本からのハワイ観光;ハワイ観光団;バブルとハワイ観光;観光王国ハワイ)
第4章 これからのハワイ(南の島のハメハメハ大王;ハワイ小史;あらたな「伝統」)
著者等紹介
矢口祐人[ヤグチユウジン]
1966年(昭和41年)北海道生まれ。ゴーシェン大学教養学部卒業。ウィリアム・アンド・メアリ大学大学院アメリカ研究科博士課程修了。北海道大学助教授を経て、現在、東京大学大学院総合文化研究科助教授
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
みのくま
10
基本的にはダメな本。観光地化され、陽気な南国のイメージを押し付けられたハワイに対し苛立つのはわかるが、しかしそれを観光客(特に日本人)のせいにしても意味ないだろう。しかも官約移民時代から今に至るまで日本人はハワイに迷惑かけっぱなしというストーリーを作りたいようだが、それはフィクションでしょう。日系ハワイアンにも非常に失礼で不快。ただハワイ=海外旅行という構図は、アメリカとハワイ、日本が結託して作ったものすごい恣意的なものであり、旅行者はこれらの国の海外戦略の一環に加担しているという事実は興味深かった。2018/02/11
gecko
8
「楽園」イメージを超えてハワイを知るための本。日本人のハワイ観光が本格化したのは1960年代以降だが、それ以前のハワイと日本の関係について私たちは何を知っているだろうか。1880年代に故郷を離れサトウキビ農場で働いた日系移民は、どのようにハワイ社会の一員となっていったか。パール・ハーバー攻撃(1941年12月7日)はハワイにとってどのような経験だったか。最終章でネイティヴ・ハワイアンの歴史と文化を扱い、過去から未来のハワイを考える。観光は一面で暴力的だが、観光を通じて互いをより深く知ることも可能だろうか。2021/05/29
80000木
5
ハワイに行きたかったので。歴史を知っておくのは大事だ。でも、ただのんびりリゾートに行きたいのなら読む必要はないのかもしれんな。思ってた以上に歴史的にも軍事的にも重い場所なんだなハワイって。お正月にハワイに行く芸能人なんかは、ハワイの歴史なんぞ知らんのだろうし、パールハーバーで気まずい思いをしたりすることもないんだろう。異国の地で見聞を広める、みたいな目的ではないのなら、ハメハメハ大王気分で何も知らずにその場所を楽しむのもいいのかもしれん。2018/01/31
もくもく
5
「なぜあんな太平洋の真ん中の島々が、アメリカなんだ?」と改めて考えて、ハワイの歴史に興味が出てきました。 米国からハワイへの移民が、ハワイ王朝(政府)の下で反乱(反政府運動)をおこし、その移民団の保護を名目に米国軍が島に乗り込み、「民主的な政府を作る」と言うことで反乱軍主導の新政府を樹立、その後に新政府が「民主的な」投票で「米国への編入を希望する」ってかたちで、めでたくアメリカ領になったんだそうで…なんだか最近クリミアで起きた事件とあまりにも相似形じゃあありませんか…。2014/07/11
きよきよ
4
名前のとおりの内容。 客観的に淡々と述べられていて、ハワイイ紀行って本より 私は面白かった。 ハワイ王国や日系人の移民、太平洋戦争の時代のハワイについて理解が深まった。2018/07/13