内容説明
これまでさまざまな規制に守られてきた日本の大学は今、少子化による学生数の減少、国際的な学生獲得競争、政府の「トップ三〇政策」などにさらされ、生き残りに必死である。勝敗の行方は、外部からいかに高い評価を得るかにかかっている。だが、根拠のない恣意的なランキングが氾濫するなかで、正しい評価ははたして可能なのだろうか。大学評価という視点から、大学生き残りの条件と二十一世紀の大学像を提示する。
目次
第1章 ランキングという妖怪
第2章 評価をめぐる大学・市場・政府
第3章 大学主導の評価方式―アメリカ型基準認定方式
第4章 自己評価と第三者評価―信頼と挫折
第5章 グローバル時代の日本の大学
第6章 大学淘汰の時代から連携・統合の時代へ
第7章 これからの大学論をもとめて
終章 大学の再生へ
著者等紹介
喜多村和之[キタムラカズユキ]
1936年(昭和11年)、東京に生まれる。早稲田大学文学部卒業。広島大学教授、放送教育開発センター教授、国立教育研究所部長を経て、現在、早稲田大学客員教授、私学高等教育研究所(日本私立大学協会附置)主幹。博士(人間科学)
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感想・レビュー
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佐島楓
22
大学の(自己を含む)評価、少子化による淘汰、大学のこれから、といったことを考察。ヨーロッパにおいても大学ランキングが流布されているという点が意外だった。日本のそれよりもっと詳細かつ公的なデータに基づくものらしいが。学生ひとりひとりにとって求める環境は当然ながら異なる。マッチングということについて考えずにはいられなかった。2013/07/11
Nobu A
6
評価そのものを考えさせられる。スポーツの順位表のようで違和感がある巷に蔓延る大学ランキング。その歴史的背景と功罪を解説。供給側が需要側より遥かに情報を持つ医療サービスの評価は病院選択の指標となる。そう考えると、選択材料となる情報や評価は必要。論文の数や被引用度数、教員と学生数の対比等数値化出来るものもあるが、一般に馴染みにくい教育機関。国際化が進み、評価を求める声は増し、公金や授業料で運営される大学の説明責任が問われる。最終的には大学で何を学び得るかだが、自分に合った大学選びが出来る情報開示が前提となる。2018/04/24
saku_taka
5
大学の置かれている状況について,大学評価の視点から読み解いている。海外との比較をしながら,日本の大学をめぐる大きな動きを位置付ける。評価は必要だが,どのような評価が適切か,問うのは難しいと感じた。2010/03/07
アルゴン
4
★★★ 大学としてのあるべき姿を明らかにし、自分(大学)たちで切磋琢磨していくことがこれからの大学の生き残る道だ、と。自浄にまさるものなしですが、内輪で秩序を保つほど難しいこともないですね。2013/09/29
凡栽
4
「評価という魔物」果たして大学は評価できるものなのだろうか。2011/11/04