内容説明
イギリスはすぐれた児童文学の宝庫である。伝承童謡の「マザー・グース」、動物を主人公とする「ピーター・ラビット」「クマのプーさん」、胸躍る英雄譚「アーサー王物語」「ロビン・フッド」、空想世界へと誘う「アリス」「ピーター・パン」など、実に多彩で層が厚い。これらの文学はどのように読まれ、イギリスの人々の精神的バックボーンを形成しているのか。英文学者が自らの体験をもとに二十二の名作を紹介する読書案内。
目次
マザー・グース
グリム童話集
ピーター・ラビット
クマのプーさん
ヒキガエル屋敷のヒキガエル
アリス
ロビン・フッド
アーサー王物語
クリスマス・キャロル
黄金詞華集
ロビンソン・クルーソー
ガリヴァー旅行記
宝島
ピクウィック・クラブ遺文集
子どものためのイギリスの歴史
聖書物語
シェイクスピア物語
ピーター・パン
おとぎの国の倫理学
ホビットの冒険
ナルニア国物語
ハリー・ポッターは古典となるか
著者等紹介
ミルワード,ピーター[ミルワード,ピーター][Milward,Peter]
1925年、イギリスのロンドンに生まれる。オックスフォード大学卒業。1954年、来日。カトリック司祭。現在、ルネッサンス研究所所長。上智大学名誉教授
小泉博一[コイズミヒロイチ]
1942年(昭和17年)、山口県に生まれる。南山大学文学部卒業。現在、京都工芸繊維大学工芸学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Kentaro
10
イギリスの児童文学やキリスト教を中心にした物語は歴史と共に学ばれ、幼児期の親から子供にも語り継がれ、歴史というものをただの歴史的事実として学ぶのではなく、時代背景や道徳、思考の形成に役立てているようだ。 面白いのはやはり、男の子の特有の冒険心を煽るような作品に心打たれるという。 ロビン・フッドの冒険であり、宝島であったりする。 ハリー・ポッターが古典になるかという問いかけも面白い。日本の昔話や三太郎物語しかり、子供の冒険心と道徳も学ばれるような定型的な文学だけでなく、共感できる物語が残っていくようだ。2018/12/29
都村つむぐ
8
新書というよりは本にまつわるエッセイ。イギリス人から見た(主に)イギリス文学という視点が新鮮だった。物語や詩はベビーベッドや機関車などの彼らの身近な生活の中に深く刻み込まれていて、生まれてから大人になるまでの成長の過程になくてはならないものとなっている。彼らが親しんだ物語や詩を学んでようやく言語を学んだことになるのだと思った。なにより童話の世界みたく現実のあらゆる事象も魔法の力にかかっていると考える方が楽しいじゃないか。2013/09/27
minimu
7
図書館。著者が読んできたイギリス児童文学に関するエッセイ。サンタクロースについての132ページが面白いです。「サンタクロースは、全知全能の神のような存在なのである。幼子イエスが幼年期の神を表しているとするならば、サンタクロースは老年期の神を表しているといっていいだろう。」ナルニアでなぜサンタクロースが出てきたか、わかります。ハリーポッターは扱っているのに、メリーポピンズが忘れ去られていて残念。2014/12/15
やまゆ
7
知らない本に対してはまったくイメージがわかなかった。文化や宗教が違うと、子どもと童話との間柄も変わってくる。大きくとらえると子どもが好きなものは万国共通の気がするが、大人になるにつれいろんなしがらみが…。2014/10/19
KiKi
6
う~ん、これは KiKi としては失敗でしたねぇ~。 ろくろく表紙扉にある内容紹介を読まずに、本のタイトルと値段だけに惹かれて(何せ半額でしたから・・・・・)手を出したのが敗因でした。 一応大学で「英文学」な~んていうものを専攻していた KiKi にとって、これって単なる名作案内(それもものすご~く大雑把な)以上でも以下でもない本でした。 イギリスの22の児童文学を取り上げていて、著者のとりとめのない感想を書き散らしているっていう感じで、そこに魅力あるエピソードとか興味深い考察みたいなものがあるわけ2010/09/27