中公新書<br> 福沢諭吉と中江兆民

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中公新書
福沢諭吉と中江兆民

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  • サイズ 新書判/ページ数 241p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121015693
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C1221

内容説明

明治日本の主要な課題は、近代国家の建設にあった。ただ、その方向に異論はなくとも、内容については議論が分かれ、西洋文明の受容に重大な役割を演じた福沢と中江も、対照的な反応を示す。ともに私塾を興すが、実学尊重の慶応義塾、古典教養に執着する仏学塾と、教育理念は両者の世界観を反映し相違を見せた。同年に没した思想家二人の文明論・国家論を、現代の問題関心から読み起こし、新世紀の展望を拓く。

目次

1 はじめに―没後100年
2 福沢と中江の生涯―比較対照される二人
3 慶応義塾と仏学塾―両塾の特徴
4 功利主義の功罪―近代社会と進化
5 西欧文明をどうみたか―「開化」のとらえ方
6 アジアをどうみたか―脱亜論と人間同等論
7 西欧化と伝統―実学と教養
8 文明と侵略―文明論的発想の限界

著者等紹介

松永昌三[マツナガショウゾウ]
1932年生まれ。東京教育大学大学院日本史専攻博士課程修了。文学博士。岡山大学教授を経て、現在、日本女子大学文学部史学科教授。専攻、日本近代思想史。著書に、『中江兆民全集』(共編、岩波書店)、『中江兆民評伝』(岩波書店)ほか
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感想・レビュー

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takeapple

7
福沢諭吉は、1万円札に肖像が描かれ、慶応大の創始者で、一般的に評価が高い。中江兆民は、自由民権運動の理論的支柱で、東洋のルソーと言われるが、生きているときは不遇で、今の人気も今ひとつ。 もし明治の日本が、中江の思うような進路を取っていたら、もっともっと世の中住み良いのではと思う。福沢の脱亜入欧が大きな間違いだと思う。福沢諭吉についての芦屋雁の話題作を読む前に読んでみた。明治維新150年を期に福沢と中江をしっかりと位置づけ、今後どうすべきか考えたいと思う。2017/03/11

4
福沢諭吉の考え方は海外からの日本を含む東アジアに対する武力による圧迫をリアルタイムで見聞きして来た危機意識から生まれた極めて現実的なものなのだったと感じた。現在から見ればこの本でも比較されている中江の相対的なものの見方で欧化を進めて言った方が理想的であったように思う。ただ、当時の切迫した状況や新しい文明の流入による生活の新鮮な変化の中では福沢の理論の方が時代や民衆、国家に適応していたのではないか。流れ、という中では中江の要求は国家にも大衆にも厳しい。けれども私は中江が言うようにありたいと思ってしまう。2017/07/18

knt

0
中江兆民の伝記を探していたのだが単独の書が図書館の書架には見つからなかったので本書を選択。西洋では道徳観の根底にキリスト教が存在するが、日本ではその代用として漢学(儒学)を道徳の根底に置くべしと主張し、実際に自身の行う教育現場において漢学を取り入れていた中江の発想は、洋学偏重と見える明治の中では面白い。2012/04/20

びーちゃん

0
福沢諭吉と中江兆民を比較して考察する。福沢は,日本の近代化が重要であるとした一方,中江は,明治維新後日本が近代化をするなかで,その文明を裏付ける精神が欠如していることを批判していることから,福沢を近代合理主義者,中江を道徳・倫理主義者として比較している。福沢と中江のわかりやすい解説書である。評価42011/06/06

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