感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アポトキシン
9
私にとってこの本はとても難しかった。何となく分かったことは、ヘーゲルはリベラルとして知られているが、復古政策を支持するなどリベラルとも言いきれない思想も遺した(ただし、かなりの検閲があったであろう)。思想的には比較的バランスが取れていたが、市民的自立の点で少し女性、子供、障害者など弱者への配慮が足らないかなと思った。2018/01/24
左手爆弾
4
表題は主にフィヒテをやっていた著者が、市民社会と国家の関係を考え治す際に「ヘーゲルに還る」ということらしい。まず、ヘーゲル自身の当時の政治的立場をやや詳しく紹介する。復古主義政策への接近はないわけではないが、全体的には「リベラル」な立場である。その上で、ヘーゲルの自由論の分析に入る。「主体-対象」の関係として自由は発展する。個人が現実(社会的関係)の中でひとかどの人物として「承認」されることで市民的自立と公共精神が形成される。ヘーゲルはJ.ロックと異なり、市民社会(所有関係)と国家を等値しない。2016/04/05
Mikko
3
学生時代に課題で読んで以来、10年ぶりに再読してみた。難しい部分もあったけどヘーゲルの思想が少し理解できた。2013/12/24
tjZero
2
ヘーゲルの考え方の基になる、矛盾を越えて高次に至る弁証法が、立法府における与党と野党との対立、王政復古主義者かリベラルかというヘーゲル自体の評価の分裂…などなど、すべてに通底しているのが面白い。理想と現実の対立、矛盾に悩まされる我々にも、”ヘーゲルに還る”ことは有効であるはず。2020/01/20
預かりマウス
2
副題のとおりヘーゲルの市民社会論と政治論。わかりやすいが、著者のリベラル色が強く出た書となっている。第三章は、ヘーゲルはカールスバートの決議後、議会重視の政治論を、君主権絶対の反動的政治論に変更したという内容で、興味深い。それが彼の政治論にとって本質的なものなのか、単に筆を枉げただけなのかは不明としている。 2018/03/17