内容説明
かつて、科学技術も情報処理も未発達だったころ、人々はどのようにして、自分の周囲の事象を受けとめ、その仕組みを理解しようとしたのだろうか。そんな時、最も有効で普及可能だったのは、神話という物語を利用することだった。そこで語られるさまざまな事蹟は、自らと森羅万象とをつなぐ手がかりとなったのである。本書は、「本の中の本」とも呼ばれる聖書に描かれた事柄を、古代人が世界を映した神話として再読する試みである。
目次
第1章 天地創造と楽園喪失
第2章 洪水伝説と文明の発動
第3章 約束の地を求めて
第4章 救世主誕生の神話
第5章 山上の教え
第6章 十字架への道
第7章 ふたたび、天地創造の神話
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
中島直人
12
(図書館)神話に隠されたメッセージを読み説く。少し単純化し過ぎではと感じる部分もあるが、聖書の持つ一つの側面を分かりやすく理解させてくれる。2018/01/20
takao
2
ふむ2022/10/11
(ま)
1
旧約・新約の神話の象徴・寓意・背景の予型論的な解釈2023/01/15
crysalis
1
英文学者が聖書の伝承や逸話、美術などを予型論的立場から読み解く。細かい論証は置いてとにかくたくさん紹介されていた。『創世記』に見られる「混沌→神のことば(ロゴス)→調和」という天地創造の流れが聖書神話において繰り返され、キリストの復活による「楽園再生の予示」にまで及ぶという。自己の絶え間ない変容というキリストの思想は多分に理想主義的だが、所々に見られる自然の循環再生観の影響に天と地とを繋げようとする意識を感じ取れて、また少しキリスト教に対する見方が変わった。2021/06/01
夢仙人
1
この本は素晴らしい。今後西洋美術を見る時の助けにもなる。座右の書である。2017/02/19
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- 和書
- きみのこと好きだよ