内容説明
明治の初め日本に紹介されたベースボールは、瞬く間に全国を席捲するほどの人気を博した。だが、娯楽性あふれるショービジネスへの脱皮をみせたアメリカと異なり、学生スポーツとして独自の発展をとげた日本の野球は精神性の色濃い「純正野球道」へと昇華していった。本書は、日米の球史を丹念にたどる手法で両国の文化的差異の本質に迫る試みである。さらには、本場アメリカの風土に根づく誇り高きスポーツマンシップをも伝える。
目次
第1章 ベースボール発祥のダイナミズム
第2章 草野球からショービジネスへ
第3章 一高で産声を上げた日本野球
第4章 「打撃こそ花」のアメリカン・ベースボール
第5章 日本野球道はいかに育まれたか
第6章 国造りの精神の中心に
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
にゃん吉
4
日米の打撃への積極性の違いの由来を分析。米国では、野球は子供の遊びから生まれ、初期ルールでは投手は打ちやすい球を投げねばならず、打つことがゲームの原点として、クラブチームからボトムアップ的に発展した、他方、日本では、野球は、まず旧制高校で受容され、そこで生じた勝利至上主義、精神主義、消極的戦術(守備重視、待球等)とともに、トップダウン的に普及したと対比されています。以前読んだ池井優氏の「白球太平洋を渡る」で記された旧制高校での黎明期は牧歌的な印象を受けましたが、書き方等で大分カンジが異なるのだなと。 2020/03/29
たろーたん
0
米のベースボールは打つゲーム、日本の野球は守るゲーム。それは「野球をしよう」と言った時、バッドを持ってくるかグラヴを取り出すかに端的に現れている。ベースボールが打つゲームなのは、その前身となったタウンボール(ゆるい野球)がもともと打って始まるゲームであったから。そのため、米の野球は打つことがメインで試合の一球目からフルスイングになる。対して、日本の野球は米の友愛や親睦ゲームが下から上へと伝わった形ではなく、スポーツとしてエリート校から伝わり、打つよりも四球で塁に出る待つスポーツとして受け入れられる。2021/07/06
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