内容説明
中華民国史は1911年の辛亥革命による清朝崩壊・共和国の誕生から、49年の共産党革命による南京政府瓦解まで40年に満たない激動の歴史である。一貫して中国政治を拘束しているのは、選ばれた有能なエリートが統治能力のない無能な大衆に代わり、高度な統治技術で政治を独占する「賢人支配の善政主義」の体質である。本書はこの観点から、中華民国史に登場した多様な政治勢力や政治理念・国家理念を、具体的に検証する。
目次
第1章 中華民国の誕生
第2章 群雄割拠と軍閥混戦
第3章 国民革命への道
第4章 南京政府と日本軍の侵略
第5章 国民党から共産党へ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マカロニ マカロン
12
個人の感想です:B+。『流』(東山彰良)を読んで、国共内戦、蒋介石総統に興味を惹かれたので読んでみた。孫中山(孫文)が辛亥革命以降主導した国民党ではその名に反して、国民の政治意識を信じない「愚民観」で賢人による専制(軍事独裁)必要論だった。軍閥袁世凱や戦後大陸を支配した共産党にもこの「以党治国」の精神は受け継がれていく。戦中と終戦直後は米国は以外にも共産党を容認し、逆にソ連(スターリン)は国民党政府を正統政府と認めていた。そして、現在に至るまで、中国では民主的な国政選挙が行われていないということに同情する2021/09/18
印度 洋一郎
10
辛亥革命後の中国国民党の政治イデオロギーの推移を中心に、中国伝統の優れた知性を持つエリートが蒙昧な大衆を善導する「賢人支配」の通底を見る。「三民主義」の孫文(文中では孫中山)も「政治意識が低い中国人に政治参加は無理」という愚民観を持ち、西洋流民主主義は混乱をもたらすと批判的だった。その愚民観は、後を継いで国民党を指導する蒋介石、その国民党から政権を奪取した共産党の指導者である毛沢東にも共通する。民衆を政治参加させない体制は現在の中国にも受け継がれている。そして、国民党内のイデオロギー論争史も興味深い2021/10/13
かなた
8
1911年に辛亥革命により清から中華民国へ。しかし中国全土を支配する力はなく、国内はまとまらず、列強国に搾取されていた。共産党と国民党はソ連の支援を受け、中国の統一を図るも、協力関係は崩壊し国共内戦へ。1928国民党が全国統一。1931満州事変。1937日中戦争で2党は再び協力。1945日本との戦争が終わると、再び内戦。日中戦争で疲弊した国民党を尻目に、共産党は勢力を拡大。1949共産党は中華人民共和国の建国を宣言。国際社会は軍事的にも経済的にも無視できなくなった中華人民共和国を中華民国に代わり中国と承認2024/09/03
ろーじゃ
5
辛亥革命で中華民国が成立してから、蒋介石が台湾に避難するまでの通史本です。この本の良い点は、大衆の動きに注目する従来の「革命史観」を退け、史料批判を原点とした記述がなされている点です。孫文・蒋介石・毛沢東・辛亥革命と、非常に政治的で時にはデリケートな扱いが求められ、なかなか客観的に記す事のできなかった人物達の考察を、多角的かつ鮮明に描けている点が素晴らしかったです。 軍閥が跋扈し内乱に明け暮れた「革命に失敗した遅れた時代」とみなされがちな中華民国像を描き治せる良い本でした。2015/02/17
可兒
3
独立期のアメリカもそうだが、革命家って基本的に民衆を信用しないんだね2014/03/26
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