内容説明
中国の遠い祖先が黄河の中流域(中原)に創始した文明は、時とともに周辺各地に拡がり、また子孫たちの手に継承され発展をつづけ、断絶することなく現代にいたっている。中国の人々は数千年来、一貫して文明の歴史の現役でありつづけている。この事実こそ、中国の歴史と文明が他国のそれと決定的に異なる特徴である。本書は文明をキー・ワードにして、文明のかたちを中心に、『史記』が描く五帝の時代から清朝滅亡までの歴史を叙述。
目次
第1話 伝説と歴史の間
第2話 文明のかたち
第3話 偉大な皇帝たち
第4話 古代から中世へ
第5話 索虜と島夷と
第6話 長安の春夏秋冬
第7話 近世とよぶ時代
第8話 草原に吹く嵐
第9話 紫禁城の光と影
第10話 王朝体制の終焉
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
俊
27
中国の伝説の時代から清までの歴史を、文明に着目して叙述した新書。各時代を深く掘り下げるのではなく、重要なポイントに的を絞って、歴史の流れを追うことに軸足を置いている。文章は簡潔で分かりやすく、皇帝の系図や地図が要所要所で掲載されているのも嬉しい。個人的にはいくつかの時代と人物に興味を持ったことと、儒教の負の面について知ることできたのが良かった。中国史の断片的な知識を整理するにはぴったりの本で、世界史の副読本にも良さそう。学生さんにもオススメ。良書。2014/06/13
Tomoichi
20
中国の歴史を伝説の時代から清の滅亡までをコンパクトにまとめた一冊。複雑な中国史を理解するのにオススメです。2017/06/13
みなみ
14
中国の長い歴史を文明という視点から解説していく1冊。そうなると主眼は儒教と科挙なのだなと感じた。科挙がどう変わっていったのかの変遷を知ることができて面白い。法学や理数系受験があったのになくなってしまったというのがなんとも。科挙は「世界無比の受験地獄」と評されていて、新書はこういうミもフタもないバッサリ評価がでてくるなあ(笑)面白かったのは宋と明。明は酷い皇帝が酷すぎる。宋は中国の近世の始まりだという。世界史で見るとあんまり強くない王朝なのだが。2025/02/13
OKKO (o▽n)v 終活中
13
中国の歴史について、新書で古代から清朝まで駆け抜けるありがたい一冊。駆け抜ける、と言ったが、中国の歴史において重要な個所はきっちり書き込んであり、単なるアウトライン描写に終わっていない。ここをスタート地点あるいは総論として、様々な時代の各論に踏み込んでいけばよいと思う。良質なインデックス。◆グダグダ感想書いたが、面白かった!! 中国を題材にした書物はそれが小説であってもどうも書き込みすぎで迷子になりやすいな、と常日頃感じていたが、本書でだいぶ整理がついた感じ。繰り返し読みそう。2022/01/30
coolflat
13
清朝滅亡までの中国の歴史。政治史中心の極めてオーソドックスな形の通史になっている。確実にポイントが抑えられているので、初学者向き。149頁。均田制は、土地に応じた租庸調を負担する方式であり、支配の理念として平均主義、平等主義を建前としていた。両税法はこの理念を放棄し、私有財産の有無を政府が公式に認めた。唐が完全に変質したことを意味する。225頁。前漢の劉邦と明の朱元璋。貧農の子から王朝の始祖となったのは、ただ二人であり、その意味で両者はよく比較されるが、朱元璋には意識して劉邦に学ぼうとした形跡も見られる。2016/06/11
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