内容説明
生前、日本の近代化のために大活躍した福沢諭吉は、死してもミイラとなって明治、大正、昭和の激動期を見すえてきた。この稀有な出来事から発想して、著者は医者の立場から明治の先達に新たな光を当てる。大阪の適塾での医学との出会い、欧米での病院訪問と衛生環境・食事の体験、東大一派によって苦境に立つ北里柴三郎の支援、脚気論争における森林太郎の理不尽、福沢自身の健康法など、多くのエピソードを混じえ、足跡を辿る。
目次
第1章 ミイラになった福沢諭吉
第2章 医学との出会い
第3章 欧米訪問
第4章 日本の近代医学と福沢諭吉
第5章 官学対私学
第6章 日本における英国医学
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
おらひらお
2
1996年初版。諭吉のミイラの出現から、福沢諭吉と近代医学の関連性を紹介していく内容。通常、慶応関係者の諭吉論はやや偏りがあるが、本書は比較的バランスが取れているみたい。2011/11/03
siomin
0
慶應大学医学部名誉教授が書く福沢諭吉論。政治的・経済的・教育的な関わりから論じられる福沢諭吉ですが,じつは医学への貢献も大きかった。 適塾の緒方洪庵はもともと蘭学者であり医者であったわけで,福沢は西洋医学の知識は豊富で,日本で根づかせるために奮闘しました。東大から睨まれた北里柴三郎への援助を行ったのは有名ですね。また,福沢の遺体はたまたまミイラ化していたという話は興味深い。 序盤は『福翁自伝』の記述と重なっていたり,後半では福沢とは直接関係のない脚気論争でページが埋まっているのが勿体なく映ります。2015/06/02
はばたき
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諭吉のミイラ、改めて知る驚き2010/12/26