内容説明
朝鮮半島本土から南へ90キロ沖の東シナ海にあり、古代は耽羅と称した済州島だったが、地理的位置から日韓中三国が密接に絡み合う元寇や倭寇の基地となり、李朝時代は政治犯の流刑地、植民地時代は日本への労働供給地として、島の自主性は奪われていた。解放後も本土との軋轢から、その歴史は平坦ではなかったが、恵まれた自然と温暖な気候を活かした園芸、観光産業によって、韓国一豊かな島に変貌した。離島ゆえの宿命を辿る。
目次
1 離島の変転する歴史
2 済州島の自然風土
3 温暖な気候を利用した農業と牧畜
4 衰退する海女漁業
5 観光の島・韓国のハワイ
6 都市化する済州島
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
二人娘の父
10
主に地理的な面から済州島の基礎知識を得るうえでは適切な新書。ただし記述はあくまでも論文的であり、そこから自分なりに面白さを得ようという意欲が必要になる。そもそも不思議な島である。「韓国のハワイ」と言われてみたりする一方で、4.3事件など、いまだ真相も実相も未解明な闇の部分も併せ持つ。まとめにもあるし私も以前から思っていたが、済州島・沖縄諸島・台湾の共通点と差異については興味深い。これはあらゆる離島・島に共通するものでもあるが、中央・本体から離れたところに独自の文化・歴史を持つ島々のドラマの魅力はつきない。2022/08/18
印度 洋一郎
2
朝鮮半島の中でも、本土とは異なる地域である済州島の歴史、地理、経済、文化などをコンパクトに網羅した入門書。元々は著者も参加した日韓共同のフィールドワークに基づく論文を纏めたもの。どうも朝鮮に統一国家が出来た頃から、本土よりも未開の地として差別されており、派遣されてきた官僚はしばしば苛斂誅求で島民の反乱を招いていたらしい。現代史における、その悲劇的な出来事が朝鮮戦争の直前に起きた4.3事件だ。元々本土に差別された歴史から反中央気風の強い済州島に、北朝鮮から追われた反共主義者の武装組織が来たので大虐殺に。2025/09/26
司行方
0
氷河期の人類が到達した時から、現代までの通史(独立国時代も永らくあった)があり、現在の産業(海女、果樹園等)、人口分布まで2013/12/17
kassie
0
学外実習で韓国済州島へ行って以来、韓国にどっぷりハマったので購入。済州島のことがこの1冊で大体把握できます。高野氏は地理畑の方なので、内容が分析的というか計量的です。2010/03/18
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