中公新書<br> 「生活者」とはだれか―自律的市民像の系譜

中公新書
「生活者」とはだれか―自律的市民像の系譜

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  • サイズ 新書判/ページ数 242p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121013231
  • NDC分類 365
  • Cコード C1210

内容説明

1980年代末から、政治家の発言や企業広告の中に「生活者」という言葉が頻出しはじめる。それは瞬く間に時代のキーワードとして定着した。「非生活者」など存在しないにもかかわらず、なぜ「生活者」は人心を掴んだのか。本書は、三木清の生活文化論から戦後の消費社会論を経て「新しい社会運動」論へと半世紀余り使われてきた「生活者」という言葉に、個人の思いだけでなく、人びとが生きた時代の思いを読み解く試みである。

目次

プロローグ 生活者探しの旅へ
第1章 ファシズム体制のもとで
第2章 戦後の出発へ
第3章 消費社会を行く
第4章 「論」から「運動」の舞台へ
もう一つのプロローグへ―生活者論をひらく

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

茶幸才斎

3
一時流行した「生活者」なるものは、戦中・戦後の混迷の中を逞しく暮らす市井の人として、大量消費社会の空疎な「消費者」への対抗概念として、また自らの暮らしを実践的に模索する市民活動として、研究されてきた経緯があるらしい。本書は、単なる流行語ではない「生活者」の概念と、その社会的意味に関する研究史である。「生活者」を要約すれば、生命の充実を志向する主体的・能動的な姿ある個人、とでも言えようか。対して、将来を悲観し生き方に迷い、その寒い孤独の反動からSNSにすがる我々現代人は、さながら「生渇者」とでも称すべきか。2013/01/25

Nさん

2
1996年刊行。多義的で言わば「お守り言葉」のように使われる「生活者」という言葉。実際はどうだろうか、著者は「生活者」の意味の変遷を戦時体制下〜現在へと読み解いていく。理想的な理念に始まり、消費社会への対抗、そして運動(ベ平連・生協)へと、「生活者」が実践性を備えてきたことが読み取れる。それらに通底するのは時代の支配的価値への自律的・対抗性を伴った市民像である。対抗や運動と聞くとマルクス的なものを想像しがちだが、階級の一つまとめではなく、一人一人の「個」に焦点が当てられた概念であることに意識をしたい。2019/09/11

まつゆう

1
今日でいう生活者は誰にあたるだろうか。趣味が仕事になってネット販売で副業をする主婦?デモに参加する市民?2016/08/28

ねぎとろ

1
あとがきにあるように、いまや政治的な「お守り言葉」となった「生活者」の概念史として便利。10年以上前に描かれた主婦を中心とした生活者運動が、主婦が一種のステータスになりつつある現代において、どのように変化しているのかを調べると面白いのかも(この本の当時ですでに余裕のある主婦たちの活動であったことが描かれているわけだが)。2011/12/24

たぬき

0
アンチテーゼの毒を生産社会はどう取り入れるのか?その回答は無論この本にはない2009/07/12

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