内容説明
1980年代末から、政治家の発言や企業広告の中に「生活者」という言葉が頻出しはじめる。それは瞬く間に時代のキーワードとして定着した。「非生活者」など存在しないにもかかわらず、なぜ「生活者」は人心を掴んだのか。本書は、三木清の生活文化論から戦後の消費社会論を経て「新しい社会運動」論へと半世紀余り使われてきた「生活者」という言葉に、個人の思いだけでなく、人びとが生きた時代の思いを読み解く試みである。
目次
プロローグ 生活者探しの旅へ
第1章 ファシズム体制のもとで
第2章 戦後の出発へ
第3章 消費社会を行く
第4章 「論」から「運動」の舞台へ
もう一つのプロローグへ―生活者論をひらく