内容説明
21世紀はアジアの世紀であり、中国の、客家の世紀、さらには21世紀に通じる大きな門の鍵は客家が握っていると言われる。今、急成長を遂げる華南経済圏の主役は、華南、香港、マカオ、台湾、東南アジアの客家である。客家は元来、漢民族の一つの支系であり、客家人は客家語を使用し、黄河流域に歴史的血縁と地縁をもち、共通の生活様式、風俗習慣、信仰理念で結ばれている。客家出身の筆者が彼らの源流・文化・人物を検証し原像にせまる。
目次
第1章 時代を動かす風雲児
第2章 「客」は何処より来たるや
第3章 田畑は売っても、客家語は捨てぬ
第4章 食も客家にあり
第5章 壮大な宇宙論の再現
第6章 山歌を口にしないと心がなえる
第7章 揺るぎなき遺風
第8章 家庭の大黒柱
第9章 教育こそ家の宝
第10章 征服に屈しない反骨者
第11章 客家を支える無形の柱
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tomoichi
17
「客家とは何か」に迫る面白い本なのだが、客家出身の著者がかなり何でもエエように書くので少し興ざめして残念。2019/06/16
みい⇔みさまる@この世の悪であれ
9
☆×3.5…この本を読んでいてどこか身近に感じてしまったのは、言葉の語源が非常に似通っているからでしょうか…それだけではないように思えます。客家の人として驚いたのはうっかり塗りすぎると地獄の思いをする「タイガーバーム」それを作った人が発火だったことは初めて知ったことでした。知識こそ力…今では??と思われるでしょうが糧を得るすべを農作物に臨めなければ知力をもってしてのし上がらないといけませんものね。あと、彼らの建築物も印象的でした。テレビで見た記憶があるな…2019/09/20
印度 洋一郎
6
漢民族の支族である客家(ハッカ)の歴史や文化を、自らも客家である著者が紹介する。古代から近世まで何度か発生した戦乱により、黄河流域から南へと逃れた漢民族(著者によると上層の人々)が山岳地帯に定着し、過酷な環境の中で血縁地縁で助け合い、勤勉と教育を武器として、上昇志向が強烈になったという。歴史的に官僚や商人として名を成す者も多く、鄧小平やリー・クアンユーも客家だった。この辺りの諸相で中国国内や世界に広がる客家人脈という、ユダヤ人的なイメージも生まれる。食生活や習俗、独特の住居である土楼等にも言及されている2016/12/20
oshow
2
中国のユダヤ人とも言われる客家。鄧小平、孫文、李登輝、リー・クアンユー、タイガーバームの創業者胡文虎、なども客家である/今の日本語の漢字とその読み(音読み)は古代中国から伝わったものを使い続けている。その中国では、北方騎馬民族に何度も脅かされ、言葉がまじり、日本へ伝来した当時と漢字や読みの変化が起きている。一方で客家は客家語として古来の漢民族の漢字と読みを保存し続けたため、現在の中国語よりも、客家語と日本語は共通点が多い。なるほど。2021/02/01
のんき
1
1996年5月刊。大学時代、東洋史の講師の先生が、文革で大陸から台湾に移住した人で自分を「客家」だとおっしゃっていたので、客家とはそういう人々のことをいうのだとずっと思っていたけれど、もっと広い意味を持っていたことを本書で知った。で、当然のように個人的には文革と客家との関わりに一番興味があったのだけれど、そこには殆ど触れられておらず残念。2011/07/23