内容説明
時代の潮流をうねらせた幕末最大の国際紛争を精査して描く。
目次
第1章 ペリー来航と長州藩
第2章 長州藩の暴走
第3章 京都政変と藩難
第4章 四国連合艦隊の下関襲撃
第5章 攘夷戦後の展開
第6章 攘夷戦余聞
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はちこう
14
小説には書かれていない情報(忘れただけかもしれないが)もあり読んだ甲斐があった。日本史ではペリー来航の方が有名だが、日本が欧米と戦った初めて本格的な戦闘であり、その後長英の関係が改善し明治維新に繋がったことを考えると、ペリー来航に匹敵する重大な事件だったと思う。講和の際、彦島の租借のことは通訳のアーネストサトーから出たようだ。晋作が古事記を持ち出して話しをはぐらかしたというのは後世の創作かと思われるが、晋作らが彦島の租借を拒否したことは事実だったと思って間違いなさそう。2025/06/17
半木 糺
6
後世の人間から見ると、「愚挙」にしか見えない長州藩の下関戦争。しかし、攘夷論を払拭し、開国論に転じるためには必要不可欠な事跡であったと思われる。著者は下関戦争後に連合軍に徴集された大砲の行方を海外に渡って追跡しているが、その熱意は著者が山口県人だからなのかもしれない。戦争に参加した艦艇や兵力のデータが丹念に掲載されており、史料としても活用できる。2013/04/28
YOS1968
2
歴史は、ある切り口から見ると違って見えることがある。幕末長州は攘夷の急先鋒であったが為に外国船に砲撃した。しかしそのことが英国へ接近し、攘夷から倒幕へ藩論を転回する。幕府は法外な賠償金を請求され弱体化する。歴史は急展開する。面白い。2010/09/07
Tomozuki Kibe
1
著者は山口県出身・山口/長州がらみの小説をものする歴史作家。山口県旅行のお供に。これよまなかったら壇ノ浦砲台の模造品だけ見て前田砲台にまでいかなかったかもしれない。2023/08/13
きょ
1
幕末における各国、特にイギリスの活躍や攘夷戦争を通して歴史がどう転換したのかということも改めてよく分かった。壇ノ浦の戦いから始まった武家社会が下関戦争を通じて崩壊していく——と書くと関門海峡の重要さがすごく伝わってくるし、この一連の国際紛争が松陰門下の双璧がそれぞれ開始し、収集したというのも因果めいたものを感じた。余談の長州砲については、偶然にも先日新聞で読んだところだったので(多分この著者さんのお話が掲載されていたのかなと思う)興味深かった。2011/03/13