内容説明
物質主義から現象主義へと物理が大きく変容する今、日常生活のなかから広がる物理の新しい可能性にチャレンジ。
目次
第1章 流れ落ちる
第2章 吹き飛ばされる
第3章 かき混ぜられる
第4章 吹き上げられる
第5章 ゆすられる
第6章 粉粒体とは何か
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
こーた
46
砂粒のサイズが、大きすぎても小さすぎてもいけないのだという。粉粒体。あるときは動きまわる流体として、またあるときはひとつのまとまった固体として振る舞い、しかも実態はそのどちらでもない。なんともわがままでとらえどころのない存在だが、そんな粉粒体の挙動をじっと見つめれば、それは満員電車や、道の渋滞、はてはシマウマの模様にまで関係しているというのだから、驚く。なんともニッチな分野だが、その研究は、従来の科学が及ばなかったすき間(ニッチ)にまで、あたかも砂粒のように巧みに入りこんでいく。⇒2014/03/24
なをみん
2
面白そう!の予感通り地味になかなか面白かった。なんだろう。なんだか初めて物理学の初歩を知った子供の頃のワクワクドキドキ感の味わいを少し思い出したというかなんというか。ありふれた世界のことでも「まだ良くわかっていない」と言われるとなんか「いい話を聞いた!」って思えてしまう。なんかいつのまに最終章とかちゃんと理解できてる自信が持てなくなっているけど、まあいいか。2024/11/29
とりぞう
1
だまされた! が、得をした! 本書は「砂時計」の本か? 否。本書は砂時計の砂をメタファーとして使った社会現象をもっともらしく語る本か? 否。本書は「粉粒体」というものを科学するための「入門書」だ。ぼくは子供のころから「砂時計」を不思議に感じてきた。だから「砂時計」の秘密を知りたかった。しかし本書ではさらに奥深い世界の存在を感じさせてもらった。「寺田寅彦かよ!」と思う部分もあったが、ちゃんとあとがきで寺田寅彦について触れていたのも嬉しかった。あ〜、楽しかった!2015/06/13
.fa
1
砂時計の砂に代表される粉粒体を力学の観点から考察。砂を地面に落とすと山の形になる理由、液体・気体の違いなど、言われてみれば全く分かっていなかった現象や物質が多くあることに驚いた。エントロピーの話も興味深い。2014/02/16
Humbaba
1
科学技術はどんどん発達しているが、実際にすべての原因がわかっているわけではない。モデルを作ってその現象を導くことができたとしても、それは要因が分かったとは限らない。どのような理論でそれが起こっているのかを理解しない限り、本当の意味で分かったことにはならない。2010/03/23