内容説明
一八五一年の第一回ロンドン万博を契機に、十九世紀後半は、ヨーロッパで空前の日本ブームが沸き起こった。時を同じくしてアメリカでも同様の流行を見るが、その場合、際立っていたのは、日本趣味の及んだ範囲が、美術や文学といったハイ・カルチャーにとどまらず、服飾、造園、装飾品といった生活に密着した品々にも広がったことである。本書は多岐に亙る実例を示して、短いながらも広く深かった日本趣味流行の軌跡を辿る。
目次
第1章 ヨーロッパとアメリカのジャポニズム
第2章 アメリカの服飾の中のジャポニズム―キモノの変貌
第3章 アメリカのジャポニズムの淵源―歴史的背景と初期の衝撃
第4章 アメリカ文学の中の日本
第5章 アメリカ美術のジャポニズム―サージェント、カサット、ホーマーなど
第6章 アメリカの生活の中のジャポニズム―建築、庭園、家具、装飾品など
第7章 ジャポニズムの終焉
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
印度 洋一郎
2
19世紀後半から1910年代まで、西欧とアメリカに澎湃と巻き起こった、日本への憧れである”ジャポニズム”。元々はそれ以前から着物や浮世絵を通じて、未だ見ぬジパングへの憧憬として文化人や上流階級の間にあったものが、日本の開国と共に大衆レベルにまで広まっていった経緯を図版を織り交ぜながら紹介。特にアメリカでの大衆化は著しく、着物の影響を受けたドレスや部屋着が通販のカタログに人気商品として載るほど一般化する。しかし、それも1920年代に日本との関係が悪化していくと共にうたかたのように消えていく。正に幻のように。2010/09/23
unknown
0
20年ほど前に出た本ながら、面白かった。ジャポニズムの歴史。「アメリカの忍者小説の流行」のくだりではやはりエリック.V.ラストベーダーの『ザ・ニンジャ』が取り上げられていて、著者の力量も褒められていた。『ザ・ニンジャ』復刊してくれないものか。2014/02/20
ホンドテン
0
所有。平成不況前夜に著されたまんまジャポニズムの北米への多岐にわたる波及と影響の概説。ホイッスラーをジャポニズムの先駆であり深化の探求者として評価する指摘に目から鱗。4章を更に増補したのが羽田(05)かと研究の発展をみる。巻末、その終焉を語る一節(いささか駆け足)に隆盛するAnimeーManga輸出とそれに奢る一部言説の行く末を思う。2024/03/16