内容説明
本書は、理論的研究、経験的研究、歴史的研究等多くの分野を見通してきた著者があらためて現代社会学を総合的に捉え、専門分野のみならず一般読書人を対象にして、可能な限り高い水準で平易に説くことによって、この学問の面白さと真価を伝えようとする、「富永社会学の展示室」というべき作品である。
目次
第1章 社会の学としての社会学
第2章 理論社会学
第3章 領域社会学と経験社会学
第4章 社会学史の主要な流れ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ステビア
18
大御所の新書。晦渋なのかと思いきや、意外にも読みやすかった2023/02/05
りょうみや
9
文量は多いが分かりやすくとても読み応えがある。私のように社会学の優しい入門書や関連本をいくつか読ん後の知識の体系化にちょうどよい内容かもしれない。社会学とは何かという問いに対してはこれまでの中でこの本が一番詳細で納得することができた。ミクロとマクロ、理論社会学と領域社会学など分野の違いも明瞭になる。特に理論社会学や社会学史の解説は入門書レベルではあまりないので貴重である。2016/11/17
shishi
6
[A]とても分かりやすくコンパクトにまとまっていて、社会学入門にはぴったりのように、初めて社会学入門書を読む僕には感じられた。社会学の起源、対象、方法、命題、思想、学史、人物などなどだいたいは分かった気になる。重要な人は何度も名前が出てくるのでそれで覚えられるところもよい。様々な本や人をしっかりと位置づけてくれているから、マッピングに役立つ。2013/08/09
なつき
5
『社会学講義 人と社会の学』読了。富永健一、中公新書。いわゆる「富永社会学」の手引き的でもある豊かな一冊ですね。いやなんかひさびさにがっつり頭つかって時間かけて読んだ。一か月くらいずっともくもくと読んでいたぞ。社会学にも、いろいろあるのねえ……という言葉にしてしまえばふわふわな!2018/03/29
awe
4
人に勧める社会学の入門書に決定。「社会学」と「社会科学」の「社会」の違い、理論研究と経験的研究の関わり等について、新書ながら詳細な学説史が展開されており読み応えがあった。また特筆すべきは、日本への社会学の導入とその展開、論争が事細かに記されていることである。高田保馬と新明の特殊社会学と総合社会学の論争については初めて知った。富永の言うように、専門分化の時代にあって後者は科学としては成立し得ないだろう。ただ皮肉にも、古市などの評論家の影響で世間一般の社会学のイメージは現在後者に固まりつつあるような気もする。2019/04/04