中公新書<br> 中欧の分裂と統合―マサリクとチェコスロヴァキア建国

中公新書
中欧の分裂と統合―マサリクとチェコスロヴァキア建国

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  • サイズ 新書判/ページ数 229p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121011404
  • NDC分類 234.8
  • Cコード C1222

内容説明

19世紀半ば、多くの民族を統合していたハプスブルク帝国内のチェコとスロヴァキアの狭間に生まれた哲人政治家マサリクが、自己のアイデンティティーを求めた遍歴とチェコスロヴァキア建国の物語である。第1次世界大戦という総力戦の中での国際関係、ロシア革命、日本がシベリア出兵をする口実となったチェコスロヴァキア軍団事件など、さまざまの歴史の波動が重なりあう中欧で、マサリクが「祖国」を獲得していく過程を描く。

目次

プロローグ プラハと東京
第1章 生い立ちと修行時代―ホドニーン、ブルノそしてウィーンへ
第2章 学問と政治の狭間で―プラハにて
第3章 第1次大戦の勃発と独立運動―ロンドンへの道
第4章 チェコスロヴァキア軍団事件と独立―ロシアからアメリカへ
エピローグ 新たな旅立ち

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ジュンジュン

10
93年1月1日、チェコとスロヴァキアが二つに分かれた。その源流を求めて、19世紀ハプスブルク帝国(オーストリア-ハンガリー二重帝国)まで遡る。主役はマサリク、学者先生。マサリク"博士"の呼び名がぴったりくる。その雰囲気は、アニメ「ダグラム」のサマリン博士を想い出される(笑)。劇的な滝や急流は何もない。帝国がWW1敗色濃厚のなか、連合国側の思惑を泳ぎ切り、戦後独立を獲得する。その展開もまた、博士に相応しくスマートだ。2021/08/07

Miyako Hongo

9
次読む本の予習。□オーストリアのハプスブルグ家の凋落とドイツの台頭、それに平行しての中欧の歴史。民族主義に端を発した彼の“人間の顔をした社会主義”のバックボーンは何かを探る、所までは行ってないけど手がかりを求めて嗅ぎ回ってる感じ。博愛主義者であった事は間違いない。□しかしまあ、地政学的にあのあたりは本当にキナ臭い所だよなあ。ロシアとドイツとトルコに囲まれ、覇権争いの最前線みたくなってる。異文化の交わる場所としてとてつもなく魅力的な所ではあるんだけど。そこに住む人のアイデンティティーは複雑なんだろうな。 2019/10/14

中島直人

3
(図書館)マサリクの伝記。ほぼ知らなかったので、新たに学ぶことばかり。中盤まではやや中弛みと感じたが、ハプスブルク帝国解体、チェコスロバキア独立へと進む後半は、ドラマチックな経緯が簡潔にまとめられている。2022/10/08

印度 洋一郎

3
オーストリア・ハンガリー帝国に生まれ、チェコスロバキア共和国建国の父となったトマーシュ・マサリクの生涯とチェコ民族の近代史を概観。19世紀後半からのチェコ人の帝国内での境遇から、第一次大戦でチェコ独立へと動き出す激動の建国史へと続いていく。大戦中、オーストリア国内で自治を目指すチェコ人と、国外で独立を目指すチェコ人(マサリクはこちら)がいた事、ロシア革命後のチェコ軍団にまつわる経緯等なかなか知られない話が多く、興味深い。「チェコスロバキア民族」という概念は、独立のために必要だったが、多分に便宜的だったのだ2016/12/27

だ~しな

3
オーストラリア=ハンガリー二重帝国史について知りたく、読破。チェコスロバキア大統領マサリクの生涯を中心に、WWⅠから建国に至るまでの流れを要点を掻い摘んでわかりやすく描かれている。チェコスロバキアの建国にまでの至る道のりは決して計画的ではなく、WWⅠ勃発からロシア革命などを経てドミノのように事態が流動的に動き、権力の空白地帯が生まれた結果なのが見て取れる。マサリクの発言「国家は人工的であり、民族は自然で民主的なものである。」「歴史は統合と同時に分解の過程である。」この二つは中々真理をついているように感じる2016/04/16

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