内容説明
本書はデンマーク、スウェーデンを中軸に、両国から分離・独立したノールウェー、フィンランド、アイスランド北欧5カ国の通史である。
目次
序章 バイキングの遠征―北欧古代の冒険家たち
第1章 キリスト教と反乱の時代
第2章 剣の時代
第3章 ロココの時代
第4章 動乱の時代
第5章 独立の時代
第6章 戦間期の時代
第7章 大戦の時代
終章 曲り角の時代―冷戦終結後の北欧
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
syota
31
北欧というと神話にバイキング、福祉国家といった断片的なイメージしかなかったので、歴史を知るために読んでみた。欧州の最北で気候が厳しく農業は振るわない。増加する人口を支えられないため、昔は「新生児を野獣の出る森に捨てる」「真冬に幼児を戸外に出して放置する」「老人を崖から突き落として殺す」といった悲惨な風習があったという。そんなどん底の貧困地域が、周辺の大国の争いに巻き込まれ、ときには自ら加わり、さんざんな目に会いながらも必死に独立を守り、世界が羨む豊かな福祉国家を築き上げた。その勤勉さと先見性に敬服する。2017/09/16
俊
24
スウェーデンとデンマークを中心に、フィンランド・ノルウェー・アイスランドも含めた北欧5カ国の通史。やはり大国に囲まれた地域というのは大変だ。200ページちょっとに5カ国分の歴史を詰め込んでいるので、少し記述が物足りなく感じる所があった。ただ、ちょくちょく挟まれるコラムは面白いし、漠然とした「北欧とはどんな所?」という問いには充分答えてくれる本だと思う。それにしても、ヴァイキングという欧州各国を恐れさせた人々の末裔が、今は世界有数の弱者救済国家を作り上げているのだから。歴史は本当に面白い。2014/12/20
健
17
「物語」シリーズを読むと、どのような地域にも長くて困難な歴史がある事が分かって面白い。福祉国家の優等生とされてきた「北欧」が、実は覇権争いが繰り返された地域であったことが分かる。スウェーデンとデンマークがこれほど仲が悪かったとは初めて知ったし、フィンランドとノルウェーがその煽りを受けて20世紀まで真の独立を獲得できないでいたことに悲哀も感じる。また、ほとんど記録が残っていないバイキングが、北米、地中海、ロシア・キエフにまで進出し、それぞれの地で王国を築き、その地に同化したなんて浪漫溢れる話で魅了された。2022/06/03
ふぁきべ
14
北欧3か国+フィンランド+アイスランドの歴史についてを200ページほどでまとめている。書かれたのがEU発足前の90年代前半のようで非常に古めかしい日本語転記(フィンボガドッチルとかローセンボルイとか)が目につくが、ノルウェー、スウェーデン、デンマークと途中からはフィンランドの歴史について簡略にまとめられている。フィンランドについてはこのシリーズで単独で本が出ていてそちらのほうが圧倒的に内容は充実していて、かつ面白いのでそちらをお勧めする。スウェーデン、デンマーク、ノルウェーについても単独で1冊出してほしい2020/10/17
ごん
11
北欧3国とフィンランドとアイスランドの歴史をまとめた一冊です。北欧なんてグスタフ・アドルフとシモ・ヘイヘとマンネルヘイムとキルケゴールとイプセンとムンクぐらいしか知らないよという人にもわかりやすく北欧の歴史がわかります。(ノーベルさんを忘れてました。)読んでみると北欧の歴史はお互いに密接にリンクしているのがわかるので北欧ひとまとめで一冊の新書にまとめるのはありかなと思うのですが、一つの国ごとに詳しく取り上げてくれたものがあれば嬉しいなと思いました。(物語フィンランドの歴史はもうありますけど。)2021/08/14
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- 和書
- 暁のひかり 文春文庫