中公新書<br> 昔話の考古学―山姥と縄文の女神

中公新書
昔話の考古学―山姥と縄文の女神

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  • サイズ 新書判/ページ数 226p/高さ 18X11cm
  • 商品コード 9784121010681
  • NDC分類 388.1
  • Cコード C1291

内容説明

昔話の山姥は人をとって食う妖怪として恐れられてきたが、『古事記』や『日本書紀』に登場するイザナミやコノハナノサクヤビメのように豊穣をもたらす女神、ひいては縄文時代から崇められてきた母神を思わせる一面をも持っている。神話や、縄文時代の遺物などと照らし合わせながら、山姥の登場する昔話の意味を考え、それら昔話や神話の比較により、土偶や土器、石棒などに対して古代の人が抱いたと思われる宗教的意義を考察する。

目次

第1章 妖怪でも女神でもある山姥
第2章 苦しんでたくさんの子を生む山姥と山の神
第3章 イザナミともコノハナノサクヤビメ=イハナガヒメともそっくりな山姥
第4章 惨死した死体からもいろいろなよいものが発生する山姥
第5章 排泄したり分泌したりしてよいものを出すオホゲツヒメ=ウケモチと山姥
第6章 古栽培民のハイヌウェレ型神話と殺害の儀礼
第7章 縄文時代中期の土偶と土器によって表わされた母神
第8章 石棒とメラネシア原住民の男性器および精液崇拝

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

umeko

15
前半は多種多様な山姥について、後半は縄文土器と世界へ地域を広げ、山姥と神話の繋がりを考察する。その後半は、かなり衝撃的だった。古代の人々にとっては、排泄や死体までも「生」を感じさせる、生々しい「生」だったということか・・・。前半はお気楽な気分で読み始めたが、後半にはすっかりディープな世界にはまってしまった。2016/04/04

双海(ふたみ)

15
再読しました。今回は第八章の「石棒とメラネシア原住民の男性器および精液崇拝」だけ読みました。2014/05/29

東雲

8
ハイヌウェレ神話、死体化生神話に興味があったため。豊穣の女神を擬物とするならば壺であり、壺は煮炊きするものである。従って女神はその身体の内で食物を精製し、排泄物として世に出る。そしてその死体もまた五穀豊穣の礎となる。それは縄文土器土偶でも表現され、昔話の山姥に受け継がれている。仏教の流入により女神と言う存在は邪悪なものとして扱われ、山姥へと行き着く。だが女神としての性質は失われず、姥皮等の逸話が残る。新しい宗教が流入した時、土着の信仰は邪教として迫害されるのは世界共通だろう。2022/03/18

うえ

8
「縄文時代のわが国の人々の信仰では…生きた身体から御馳走を出し、殺されると死体の破片からも、あらゆるよいものを発生させてくれる有り難い女神がとうぜん、食物とともに人間の生活にもっとも必要な火も、身体から生み出して与えてくれると信じた。…果ては焼け死にながら、火を生み出してくれる受苦の有様を生々しく表現しては、火の恵みを女神に感謝していたのだと思える。…民間伝承の中の山姥は、このきわめて古い母神の性格を、神話の中の女神たちのどれにも優って、なぜかずっとより全体的に、びっくりするほどよく継承している」2018/12/31

双海(ふたみ)

5
東南アジアの神話ついてレポートを書くときにハイヌウェレを扱いたいと思って借りてきました。おかげさまでレポートが完成しました。2013/12/26

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