内容説明
西欧の列強諸国が帝国主義的領土拡張を続け、その植民地経営に汲々としていた時、イギリスは、常に専門の高等教育を受けた優秀な人材を現地に派遣しつづけた。このことが、仏独蘭といった国々に比べて高水準な安定統治を可能にした最大の理由となり、植民地から撤退後の独立国同士の関係にも深く影響している。本書では、自ら植民地を所有するほどの大植民地インドを例にとり、その官僚の選抜・教育・研修の実態を探ろうとする。
目次
第1章 インド帝国
第2章 インド統治とICS
第3章 公開試験によるICS選抜
第4章 公開試験の実施とその反響
第5章 インディアン・ポリティカル・サーヴィス
第6章 インド以外の植民地高等文官
第7章 イギリス人ICSの没落
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
106
今までの植民地統治に関する知識が新たにされた感じがしました。英国がかなりインドを植民地の中でも重視していたことがわかります。かなりな人材をこの地に投入していたことによって統治もうまくいっていたようです。そのような観点では、企業統治にもかなり応用できる考え方であると思われました。2016/05/04
kawa
30
パレスチナでのイギリスの3枚舌外交の根源を知りたくての本書だがその期待は全くの肩透かし。19世紀から20世紀にかけての植民地支配官僚の制度論に終始で正直がっかりなのだけれど、知らなくてへえぇと言うこともありで30%くらいは挽回できたかも読書。曰く、第1次大戦直後のイギリス植民地は世界面積の20%。その統治はインド省(それ以前は東インド会社)がメインで、中近東から東南アジア、中国までを本国に代理してコントロール。アフリカその他の地域は格下の植民地省が管理。植民地官僚は高級で人気で予備校まであった、等々。 2025/03/06
金吾
27
◎大変面白かったです。イギリスにおけるインドの価値、インドを統治するにあたり制度・官僚を如何にして作っていったか、最終的にインドを手離さざるを得ない状況になった理由等がよくわかりました。あとがきで作者が触れている部分についても痛感しながら読んでいましたので、他の本も読みたくなりました。2024/02/25
nagoyan
16
優。制度史的な。1991年の刊行。ICSは英の選良。英社会は階級社会で縁故社会だが、ICSは競争試験で選ばれた選良。インドは英帝国の屋台骨で、本国政府の必ずしも言いなりにならない印度の英人支配層。というわけだが、書かれた時代の制約もあるか。渡印英人は本当にエリートか。社会史的な手法が盛んになって、著者の論調とは違う見解も目にしたことがある。まぁ、そういうものかもしれない。2021/04/30
印度 洋一郎
2
大英帝国を支える植民地であったイギリス領インド、そのインドを統治する実働部隊だった官僚達、インド高等文官(ICS)の歴史を辿りながら、イギリスの植民地構造を探る。この本を読むまで、インドが植民地でありながら、独自に外交機能(勿論イギリス外交の一部だが)を持ち、アデンやバーレーンといった中東の英領は、実際には「インドの植民地」だったのは知らなかった。そんなインドを統治したICSは、試験ではなく、面接に重きを置いた採用基準だったが、これは現地人を統治する「生まれながらの支配階級」の人材を求めたからだった。2024/11/06




