内容説明
人々は古来、闇の中を自在に飛びまわるフクロウに、あるイメージをあてはめ、象徴的な意味付けを行なってきた。遠い古代ギリシャの時代には、女神アテネの従者、知と学芸の象徴として、キリスト教の絶対的支配下にあった中世ヨーロッパにおいては、凶事や暗黒を象徴する魔女の使いとして扱われた。こうした時代とともに、また異なる地域で変容する一連のイメージを通して、フクロウが持つ文化的側面を豊富な図版をまじえて語る。
目次
第1章 女神アテネの従者
第2章 凶鳥への変転
第3章 新しい主人たち
第4章 自然の素顔
第5章 被従服者の悲劇
第6章 女神からの自立
第7章 鴟〓の謎
第8章 鳳凰の天下
第9章 日本への飛来
第10章 日本文学の中で
第11章 現代に活きる
第12章 未来への飛翔
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
クナコ
12
初読。タイトル買い。ある地域の人々がフクロウと聞いて思い浮かべるイメージの変遷と文化的遺物として遺されたフクロウたちの紹介。著者は学者職とはいえこの道の専門家というわけではなく、個人的な興味から調べた情報をまとめてみたものとのこと。そのせいかやや散文的で、章立てや構成もこちらからは脈絡なく感じられるところがある。大ヒットではないが前半はそこそこ面白かった。後半の文学作品等の紹介は、各作者の感性によるところが大きそうなので蛇足的に感じた。フクロウ遺物の写真画像が多いのは良かった。2021/12/19
takao
4
ギリシャの時代には知と学芸の象徴、中世ヨーロッパでは魔女の使い 2024/03/20
とんかつラバー
4
大きな瞳にモフモフの羽毛。今ではかわいらしさの塊であるが、かつて不吉なものとされていた時代もあった。魔女の使いというキリスト教の影響だけでなく、征服者が被征服者のトーテム(聖獣)とする生き物を悪しき象徴に貶めるパターンだ。梟という漢字は不吉な凶鳥を磔にしているのに由来している。当のフクロウにとっては迷惑極まりない話である。引用元の紹介もしっかりされており筆者のフクロウに対する愛が感じられる。面白い本だった。2021/02/14
みい⇔みさまる@この世の悪であれ
1
☆×4.0…日本では賢い鳥、と言うのが印象深いこのフクロウ。だけれども昔、この鳥は凶鳥として扱われていた時期がありました。アジアでも一時期を除き凶鳥として扱われていたとか。文献が多く出てくるので本を探す人にお勧め。2011/07/14
しえろ
0
突っ込みどころは多いが、フクロウが本当に好きなのだということは良く伝わってくる。時代や地域によるイメージの変遷が面白い。2016/06/03
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