内容説明
日本最古の貨幣といわれる和同開珎は、その知名度に比して多くの謎に包まれている。鋳造当時の史料に“和同開珎”の刻銘の記事がない上、流通状況や範囲など、これまで歴史の空白となっていた。本書は、史・資料はもとより、内外の考古学の成果も駆使して、成立や呼称・伝播を検証するとともに、誕生間もなく横行する偽金造りの実態、その交換価値など、古代の人々の暮らしの中で、どのように使用されていたかを多岐にわたり描く。
目次
第1章 和同開珎の登場
第2章 銭文と古銭学〈年号と呼称〉
第3章 海を渡った和同開珎
第4章 古代の造幣局
第5章 金融政策と蓄銭叙位令
第6章 私鋳銭の徒〈偽金造り〉
第7章 金は天下の回りもの〈和同銭と税金〉
第8章 物価と暮らし
第9章 発掘された和同銭〈伝播の証跡〉
第10章 埋銭の風習と祈り