内容説明
プーシキンの「決闘と死」をはじめ、ツルゲーネフの失われた「日記と告白小説」、ドストエフスキーの「罪と罰」の受難、トルストイの「復活」発表時の逸話、ゴーリキイの「どん底」公演余談など、ロシア文学の5大作家の周辺を探訪する。本書は、作家の生きた人間、生臭い対人関係、作品の成立過程の重要なモーメントなどを垣間見せる厖大な資料群から、生の声と生きた事実を掘りおこして描く、秀逸なロシア文学裏ばなしである。
目次
プーシキンの決闘と死―同時代人たちの証言
プーシキン未亡人のその後―ヴャゼムスキー公爵の狂気
失われた文学遺産―ツルゲーネフの日記と告白小説
ポジェドームカ通り界隈―ドストエフスキーの生家
ドストエフスキーは変節者か―1849年のロシア社会主義者たち
削られたソーニャ―『罪と罰』の受難
『戦争と平和』余談―2冊の珍本について
トルストイと画家パステルナーク―『復活』発表のエピソード
モスクワのどん底―ヒートロフカとその住人たち
ゴーリキイとパルヴス―『どん底』公演余談
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
7
○プーシキン、ツルゲーネフ、ドストエフスキー、トルストイ、ゴーリキィについて書いています。それぞれが興味を持たせてくれる話ですが、プーシキンの決闘の話は周りの証言を多く集めておりこれだけでも一つの作品になるのではないかと思うくらい面白かったです。2020/05/03
pogeko
2
内容は、プーシキンの決闘の経緯、ツルゲーネフの失われた日記と告白小説、ドストエフスキーの少年時代の生活環境・ロシア社会主義者たちとの関係・『罪と罰』の削除問題、トルストイの『戦争と平和』の戦史部分の話・『復活』について画家パステルナークとの関係、モスクワのドヤ街案内、ゴーリキーの印税騒動と多彩。特にページの半分近くを占めるプーシキンの決闘については日ごとに手紙・証言を引用しつつ詳細に経過を追っており小説じみていて面白い2017/09/28
けいちか
2
もしかして、以前に読んだかもしれない本だったが、どこにも記録がないので、わからない。記憶があるようなないような話が並んでいたが、作品よりも作家本人に興味がある場合は読んでいて面白い話が多かった。また、最近行ったドストエフスキーが住んでいた家の近くの地名の話とかも身近に感じられた。2010/12/10
nukuteomika
2
タイトルからの予想に反して結構真面目に有名な作家の死の真相や作品の成立した背景を紹介する2010/07/14