内容説明
マーシャル・プランは単なる米国の戦後欧州復興援助のことでなく、戦後の世界秩序を作る大戦略であった。ペレストロイカと東欧の民主革命、欧州統合とドイツ統一、ヤルタ体制の崩壊と冷戦の終焉、そして日本はどう変わるか。いま世界は戦後最大の転換期にある。激動の現代を読み解く上で、マーシャル・プランとその時代はまたとないケース・スタディを提供してくれる。それはまた、経済大国日本の明日を考える上の指針ともなる。
目次
マーシャル・プランの登場(冷戦の始まりのなかで―成立前史;欧州へ投げられた命綱;米外交の金字塔)
マーシャルの遺産―明日への指針(巻き戻す「冷戦」のフィルム;転換期に問われる日本の価値)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ジュンジュン
7
「人はパンのみにて生きるに非ず。されど、パンがなければ生きる事もできない。まずパンを、それから道徳を」(131p)。荒廃した欧州復興を旗印に、「パンも心も」取り戻させようとする壮大な計画、マーシャルプラン。敵国ソ連を拒まず、排除する巧みな駆け引き。戦時から平時経済への転換(米側)と欧州復興を結びつける政策。EUへと続く統合への崇高な理念。マーシャルプランは、アメリカ外交の最高傑作と言われるそうだ。2020/12/26
ryo1oo3o
0
援助関係で適当にとった本。マーシャル・プランはソ連という国を深く洞察つしたケナンを中心に作成され、英仏の暗黙の共通認識により成功した。その後の封じ込みの成功にも繋がった。外交政策としても経済政策としても有効だったが、これが途上国の援助には使えないな、という印象。2012/04/11
taming_sfc
0
EUがこんな時だからこそ、また、日本やアメリカがこんな時だからこそ、再読すべき一冊。国際秩序の維持と今後のとるべき方針が理解できる一冊。2018/05/14