内容説明
もともと組合対策として発足した団体の副産物だったアカデミー賞は、60年にわたる歴史のうちに、アメリカのみならず世界中に数多の話題を提供する映画界最大のイヴェントとなった。本書は、エリザベス・テイラー、マーロン・ブランドらの大スターから、消えていった俳優、監督、プロデューサー、デザイナーたちの豊富なエピソードを重ねながら、戦争や赤狩りを経ても、今なお不滅の栄光を放ちつづける秘密を伝える読物である。
目次
フォンダ父娘のオスカー・オディッセイ
「もらって当然だと思うわ」
「欠席」ばかりのキャサリン・ヘプバーン
アカデミー賞の誕生
オスカー像
フランク・キャプラの屈辱と栄光
オスカーに引き裂かれた姉妹
オスカーをとれなかった人々
2つのミスジャッジ
ジョーン・クロフォードの復讐
ボス支配からの独立
アカデミー賞を拒否した2人の名優―ジョージ・C・スコットとマーロン・ブランド
欠席した大物たち
オスカー・ハンターたち
エリザベス・テーラーとオスカー
バーブラの敗北
オスカーの犠姓者たち
悪魔の声のたたり
アル中演技で受賞
コメディに冷たいアカデミー賞
オスカー効果
イギリスの侵略
外国人の受賞者たち
赤狩り時代のオスカー
授賞式はファッション・ショー
名スピーチ
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
スター
45
1920年代ハリウッドを支配したMGM映画副社長のルイス・B・メイヤーが経営者主導の労使協調組織を作ろうと映画芸術科学アカデミーが発足。活動の1つとしてアカデミー賞が付け加えられた。 設立当初メイヤーが絶大な権限を持っており、彼の気に入らない役者は受賞できなかった。 メイヤーの影響力を排除するため会長になったフランク・キャプラが会員数を200人~1400人に一挙に増やし、選考をよりフェアにしたのだとか。 アカデミー賞の歴史がわかりやすく解説されて面白かった。 2020/02/15
mfan4703
8
1927年のアカデミー賞創設から1989年までのエピソードを紹介しています。賞の創設に最もかかわったのは、当時MGMの副社長だったルイス・B・メイヤーで、目的は組合対策だった。1927年の第一回アカデミー作品賞は「つばさ」、主演男優賞はエミール・ヤニングス、主演女優賞はジャネット・ゲイナー。像が"オスカー"と呼ばれるようになったことには諸説あるが、有力なものは、アカデミー協会で働く女性の職員が、「私のオスカー叔父さんにそっくり」と言ったことだとか。数々のエピソードが興味深いです。2016/08/05
ユウユウ
6
エピソードにはことかかず2022/02/11
fritzng4
2
再読。90年刊行。先日読んだエマニュエル・レヴィ『アカデミー賞全史』が参考文献に上がっていることもありつい最近読んだなと思う記述も多いのだが、こちらはもっと軽いエピソード集として読める。最後の章に「名スピーチ」がまとまっていて嬉しい。2024/03/23
PALERIDER
1
アカデミー賞といえば映画界の権威の象徴であるが、元々はMGM副社長が労働組合対策で設立した「映画芸術科学アカデミー」のパーティでのおまけでしかなかったそう。 現場ですぐ泳ぎ出すキャサリン・ヘプバーンを見てビビるピーター・オトゥールや赤狩りでハリウッドから追放されたが実は脚本賞を2回獲っていたダルトン・トランポなど色々なアカデミー賞小話がまとまっていて面白かった。 今だとウィル・スミスのビンタ事件は必ず入ってきそう。 これ読んでフランク・キャプラとビリー・ワイルダーの株が爆上がりした。2024/12/04




