中公新書<br> 張作霖爆殺―昭和天皇の統帥

中公新書
張作霖爆殺―昭和天皇の統帥

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ 新書判/ページ数 190p/高さ 18X11cm
  • 商品コード 9784121009425
  • NDC分類 210.7
  • Cコード C1221

内容説明

1928年6月4日、関東軍最高級参謀の河本大作ら急進派がしかけた国際謀略・張作霖爆殺事件は、そのまま連続して柳条湖鉄道爆破事件の開戦謀略につながり、満州事変、日中戦争、アジア・太平洋戦争へと日本の破滅の道の第一歩となった。日本帝国の天皇は統帥大権を保持する大元帥であり、軍は勅命なしの軍事行動は絶対に許されない「天皇の軍隊」であった。それにもかかわらずなぜ軍部は独走したか?天皇の統帥権を検討する。

目次

1 日本の対中国政策と張作霖爆殺事件
2 爆殺事件をめぐる陸軍部内の動向
3 昭和天皇即位前後の情報
4 天皇の内閣不信任
5 天皇の聖域、統帥大権
6 天皇がかけちがえたボタン

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

かんがく

9
満州事変の前史である張作霖爆殺事件。そんな細かいテーマで一冊書けるのか?と思ったら、中国情勢、陸軍内部の対立関係、政党政治、大日本帝国憲法における統帥権問題など、関連するあらゆるテーマについて記述していた。田中首相を叱るだけで、参謀本部への指示を行わなかった昭和天皇の責任を追求。2018/09/04

またの名

4
中国の有力者を爆殺したテロリストの死体とやらが所持する犯行声明的な文書に記されてた、ネットで見かける怪しい日本語の逆パターンみたいな日本式漢文などを含む多くの物証。日本軍が関与してる真相は程無く知られてしまうが、「爆撃に参加企画する馬鹿者は吾が邦人には無い筈、濡衣を着せんとする支那の宣伝を説破し得ぬ官憲も吾邦には無い筈」「何となく外務省が外交の行詰りの責任を陸軍に転嫁して窮境を脱せんとする低劣なる動機が看取せらる」と軍閥重鎮は被害者ポジションのつもりで吐露。本書は原因になった構造的な責任まで遡り追求する。2023/04/12

印度 洋一郎

3
張作霖爆殺事件の後、政府や陸軍内部でこの事件の処理を巡って、どのような動きがあったかを詳細に分析し、満州事変へと至る道を検証。軍内部には長州閥に対する少壮将校のグループがあり、政府内部では陸軍出身ながらも軍を制御しようとして仕切れなかった田中義一首相があり、軍部がいわゆる"暴走"を始めるまでのプロセスを、当時の内閣の構造的問題や統帥権に関する恣意的解釈、そして昭和天皇の去就にも言及しながら追っている。この辺の軍の動きは、大正時代の軍縮での冷遇に対する権利回復みたいなところがあった。2016/11/15

mcpekmaeda

0
1989年の改元の時に著された本。天皇陛下の戦争責任という重いテーマに制度面から切り込んでいる。論理的な記述で理解はできたが、心には染み込んでは来なかった。2016/12/17

gkmond

0
事件を追っていく前半もそれなりに読ませるけど、統帥権の独立について語るV章から天皇の責任を指摘するラストまでの最後3分の1がやめられないくらい面白かった。2023/09/09

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/261496
  • ご注意事項

最近チェックした商品