内容説明
本書は、土光臨調発足からJR誕生に至る6年間の政治過程を、一次資料と面接取材をもとに、改革実現というゲームに参加した数多くのアクターの意図と行動を通して分析し、ドラマの数々の山場を再現する一方、中曽根リーダーシップ説のような従来の通説を覆す。
目次
序章 異なる視点
第1部 始動(4つの背景;土光臨調の誕生;分割・民営化へ向けて;分割・民営化の答申)
第2部 離陸(再建監理委員会;レールの敷かれた分割・民営化;政治学的考察)
付録(年表―分割・民営化に至る6年間の主要事項;面接者一覧と参考文献)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
高橋 橘苑
1
80年代の大きな事件の一つである国鉄民営化の推移を追った作品である。大きく成り過ぎた組織が自己改革に乗り出すことは、現実的には不可能に近い。政治家や当の国鉄、臨調等を各プレイヤーと表現して様々な視点で時系列を追っているが、最後まで当事者意識に欠けた国鉄の時代錯誤と旧態以前の尊大さから抜け出せなかった事が主原因である。どんな組織も肥大化すると目的と責任の守備範囲が曖昧になって、組織そのものに安住する一群の人たちが既得権益者になり、組織の腐敗を進行させる。その方向性を示し、国民の利益を考える事が改革に繋がる。2013/09/04
kubotchi1020
0
政治手法は今時のプロジェクト型を先取りしたものだった。当時は先進的な方法だったのだろう。それにしても分割民営化の目的・ねらいは労働組合の弱体化、左翼勢力のそぎ落としになった。リベラル派はこの時からまだ完全には立ち直っていないと思うので、強く息を吹き返していかないと日本はなかなかよくならないのと思う。2025/04/08