内容説明
いわゆる「日本的」な文化が江戸時代に形成されたのはなぜか。近代を準備するどんな要因がつくられたのか。従来の一面的な江戸時代理解を見直しつつ、これらの設問に答える。また著者は、この時代の新しい文化の潮流は、日本が文化的に中国文化圏から独立しようという自己主張であったこと、歴史上国家は中断していて近世にはいって新しい国家が成立したという見解を踏まえて、近代との連続性と断絶性とを広く考察する。
目次
1 「日本的」文化の形成(いわゆる「日本的」なるものと近世;日本古典文化の映像の完成;異国趣味文化の日本化―禅;禅宗文化と日常生活;日本的儒学の成立;日本の文化的自立;鎖国について)
2 新しい国家の成長と展開(「日本的」文化形成の背景;国家の空白期;公儀の成立;家政から国政へ;タテ社会への抵抗の挫折;行政官僚の役割;近世社会の盲点;「私」の世界の成長)
3 「近代化」日本の基盤の形成(愚民観の修正;民衆の知識欲;文化の商品化;知的市民社会;外来文化の受容;新しい格物窮理)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。
佐島楓@入院中
28
文化史観として興味深く読んだ。まだまだよく知らない名前がたくさん出てくる。この本の中で「俗説」とされている内容を学校その他で教わってきたのだな、と驚かされる点がいくつかあった。参考資料として保存します。2014/12/26
さんとのれ
3
今日の我々が日本的、伝統的だと思っているものの多くが形造られ完成された江戸時代は、一部の特権階級だけでなく庶民によって文化が支えられた時代でもある。儒教の「日本化」が、その後西洋の自然科学を受け入れる土台となっていたとする説は面白く、この辺りをもっと読んでみたい。2015/03/12
もりり
1
近世から日本化が始まったことが儒教やさまざまな文化を例に描かれていた。2017/08/03




