内容説明
中国からの日本軍撤兵の実現しないことが、日米関係を決定的に悪化させた。民間人を含めた日米交渉は成功せず、近衛首相はルーズベルトとのトップ会談を企図するが、これも失敗。事態は日米開戦、日本の敗戦、近衛の自決となる。近衛の秘書官牛場友彦氏の体験もとり入れた著者の回想は、軍部の横暴をなんとか抑えようとして苦闘し、それをはたせなかった政治家・近衛の姿を生き生きと再現し、激動の時代の貴重な証言となっている。
目次
日米関係の悪化
近衛と松岡
日米交渉―発端と結末
日米交渉と私
近衛の死
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
筑紫の國造
12
上巻に続いて。本書では、日米交渉から近衛の死までが回想される。日米交渉については、著者の松本重治自身は立場上当然ではあるが、直接的にはほとんど関与していない。それでいて、アメリカの学者ロバート・ビュートーの著書によって書かれた部分がかなり多い。松本個人の回想のはずなのに、いくらなんでもビュートーの著書からの記述が多すぎる。個人の回顧録なので、ささいなことでもいいから自分自身の見聞を書いてくれた方が良かったのではないだろうか。それなら、一巻にまとめられたかもしれない。2024/03/12
takao
3
ふむ2024/05/27
印度 洋一郎
2
下巻は、日米交渉が中心。これを読むと野村大使は駐米武官の経験があるものの、英語力はイマイチ、松岡外相との関係とよろしくなく、アメリカ側の外交的シグナルを察知するセンスもないと散々な評価。故に来栖大使を全権としてテコ入れ訪米させざるを得なくなるが、もはや手遅れ。とにかく、当時の日本の外交は色々と稚拙な印象を受ける。但し、アメリカ側も日本側の暗号を解読して、手の内をわかっている割には、日本の出方を余り読めていない。日米交渉をすればするほど、お互いの話がまるで噛み合っていない事がわかってくる。2023/06/07
フンフン
1
本書の収穫は何と言っても日米交渉に関するビュートー教授の著書を知ったこと。ところが、これの邦訳がない。(T T) 私の英語力じゃ、童話程度しか読めないんだけど、いたしかたなく拾い読みでも原書を読むしかないか。2019/04/06