内容説明
つひに行く道とはかねて聞しかど昨日今日とは思はざりしを―。世に知られた在原業平の臨終の歌である。この歌を契沖や本居宣長は死に臨んでの人間の偽りのないまことの心としているが、その契沖も万感こもることばを遺し、宣長にも周到な遺言状に添えた「詠草」がある。このように古来、日本人は末期の感懐を様様のことばに託してきた。その中から60人を選んで、死へのまなざしが生んだ「純粋な自己発見」の姿を写し出す。
目次
1 刑に臨む
2 力に生きて
3 自裁
4 漂泊の果て
5 入滅
6 知性の死
7 詩心の行方
8 戯と俳の中に
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
金吾
20
辞世の言葉等とともに3pで各人の人物の概要を記しています。辞世の言葉にはひととなりや人生、生き方が凝縮されているように感じるものもあり面白かったです。西郷千恵子、山岡鉄舟、中島竹子、契沖、良寛が良かったです。2024/11/05
冬見
11
様々な時代を生き、死んでいった者たちの末期のことばを集めた一冊。印象に残ったものを一つ。「愛の前に死がかくまでも無力なものだとはこの瞬間まで思はなかつた」2017/11/08
はる
8
日常の人柄が偲ばれたり、読んだ人の一生が凝縮され、生き方について考えさせられる。死に臨んでの人間の偽りのないこころ。腹いたや苦しき中に明けがらす。2016/03/28
おらひらお
5
1986年初版。タイトルのとおり辞世の言葉を集めたもの。最初は興味深く読むが、本書の流れがやや単調かな。やはり著者によるまとめはいりますね。個人的には最初の有間皇子の句に考えさせられました。好きなのは黒田如水の句ですね。2011/10/06
さるぼぼキング
2
辞世のことばから人生を観望するのはなかなか面白い。 中世の人物をもっと多く取り入れてほしいところ。2011/11/07