感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
千本通り
9
ドイツの大学は戦前のナチスによるナチ化、敗戦後の占領軍による非ナチ化の2度の洗礼を受けたが、構造的に、制度的に、そしてその内的実体までもほとんど無傷であったかのように1933年以前の軌道を歩み続けている。いったんは大学での職を奪われた教授たちも、大学機能をマヒさせないためという理由で、数年のうちに復帰して、昔ながらの教壇に立ったものも多い。ドイツの大学と学問は、ワイマール時代・ナチ時代・戦後を通じて、ほとんど同一の教授陣によって担われてきているという事実をどのように考えるべきか? 2025/08/31
うえ
7
ナチスによって大学教員の人事がコントロールされたことを挙げつつ、実はドイツ(プロイセン)では学部の意志を無視した人事が伝統的に行われていたことを示す。そもそも「ヘーゲルやランケやモムゼンがベルリン大学に招聘されたのも…文部官僚の手で政治的に決定された」しシェリングのベルリン大学行きもヴィルヘルム四世の決定だったという。1817年から1900年までに学部の提案を無視して招聘された教授は322人(23.8%)だとか。故にナチスのやり方に「大学自治の重大な侵害と受けとるものはほとんどいなかった」のだという…。2022/09/07
u akila
2
学生運動でナチズムを盛り上げて、国民的広がりを見せた後からは一気に大学を締め付ける。2016/03/27
Aby
2
昔買った本を読み返す.「ナチの介入にもかかわらず,伝統的学問とその制度を守りえたとしても,それは決して学問を守ろうとした大学側の道徳力によったとはとてもいえない」(p.183).余計なことを言ったりしたりしなければ,非ナチ教員も生き延びられたわけだ.ソ連の学問が大概イデオロギーと絡んで展開するので,ルイセンコ学派本を久しぶりに開くかな.2014/02/27
wat
1
問題作 現代の研究と違う箇所があるため読む際は注意が必要だが、非常に面白い (冷笑は)やめようね2024/12/29