中公新書<br> 日本の参謀本部

中公新書
日本の参謀本部

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  • サイズ 新書判/ページ数 230p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121007650
  • NDC分類 396.21
  • Cコード C1221

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ドワンゴの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

116
大江さんは権力に対して結構批判的に書く人ですがこれも日本の参謀本部のあり方を書いているというか暴露している点では本当に名著ですね。ドイツの参謀本部については渡部昇一さんの名著がありますが、この本は日本の会社組織を考える上でもっと読まれてもいいと感じています。戦略・戦術を考えるべき部署が派閥争いや謀略が専門になってしまっているのは、今の日本企業にも数多く見られるところなのでしょう。経営企画室や秘書室が今はその役割をしているのでしょう。2016/01/15

ぴー

73
本書の初版はちょうど40年前。参謀本部の体制、特質、人材などについて述べている。創設〜太平洋戦争までの時期の全てにおいて、終始辛口評価な印象を受ける。創設には桂、山縣が深く関わっており、内乱→外征を目指した転換点であると指摘。創設当時の不適切な人事、人材不足を批判している。特に満州事変〜太平洋戦争までの評価は辛辣。参謀本部が国際情勢に無知であると述べ、主観主義、楽観主義を強く批判している。結果、見通しがないまま、日中戦争・太平洋戦争に突入したと結論づける。現在の参謀本部の歴史的評価が気になるところです。2025/08/20

Tomoichi

24
著者の「バルチック艦隊」はかなり昔に読んでいて日露戦争関係の著作も多いのは知っていたが、左系のイメージがあり手に取っていなかった。最近読友さんのコメントに影響され本書を手に取る。山県有朋への評価は厳しすぎるきらいがあるが、大日本帝国を滅亡させた参謀本部の歴史を語れば陸軍将官たちへの厳しい指摘は理解できる。どんなひどい組織も運用次第とは思うが参謀本部はひどいね。勝てば官軍という言葉もあるが敗けているから国賊です。2019/08/03

ヤギ郎

20
明治維新から太平洋戦争にかけて、陸軍参謀本部の誕生から崩壊までを描いた一冊。日本近代史に登場する大物はいくつもの「判断」をしてきたわけだが、常に彼らの周りをうごめく人たちがいる。本書の大半は、もっぱら人事の話で占めているが、陸軍という巨大組織を動かす上での人の采配がどのような結果をもたらしたのか(とどのつまり敗戦になるが。)を検証していく。軍創設にあたり、ヨーロッパを参考にしたが、実践中心で教養を高めなかったところが敗因の一つだったかもしれない。「目的を明確にすること。」が本書の教訓。2020/01/07

CTC

10
本書は参本の成り立ちからその破滅迄を辿りつつ、それが成功しなかった理由を明らかにする。軍事は政治目的達成の手段でしかなく、ゆえにシビリアンコントロールは国家の基本的な仕組みである。これを嫌った山県が参本を開設した訳だが、著者はこの成り立ちが謀略好きな組織の性格に繋がっていると。 欧州では傭兵軍隊主流の時代があり、これらの忠誠を左右したのは給与と食糧だった。ゆえに兵站は最重要で、一方日本は傭兵軍隊を持った歴史がなく、戦争理論と戦争指導の科目が殆どなかった陸大教育と相俟って、極端な兵站軽視がみられた等々。2014/08/13

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