感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
87
むかしから何度かあるいは横山光輝さんのコミックも読んでいてかなり内容は熟知しています。けれどやはりこのもととなった「鸚鵡籠中記」は当時としてはかなり暴露もののだったと思います。今の週刊誌のような感じです。外には出さずひそかに城中の家臣が読んでいた隠れたベストセラーだったのでしょう。その書いた本人などや背景などを書かれていて原文を当たりたくなりますがいつも挫折しています。2015/09/08
saga
49
『鸚鵡籠中記』は、これまで読んだ歴史系の本に、参照した史料として紹介されていたので、書名は記憶に残っていた。その書を記した朝日文左衛門が見た元禄から享保までの風俗などを、武士学入門、御畳奉行どの、元禄社用族などに章立てて紹介する本書。密通、心中の章では、当時の女性の哀しさや、女性が脇差で腹掻っ捌く事例を読むにつけ、逞しさを実感。酒と芝居、心中事件まで楽しんでしまう文左衛門。百石と少禄ながら優雅な生活に思える。日記の文面からは生来の人の好さや、バレバレの暗号を記すお茶目さは、読んでいて楽しかった。2024/07/30
sofia
41
『鸚鵡籠中記』をそのまま読むのは難しいのでこちらを読む。元禄の武士が公務員化したころの尾張藩士、朝日文左衛門は芝居好きで博打と酒と女好き。好奇心いっぱいに約27年にわたる日記を残す。そしてそれが残っているすばらしさ。不倫や博打は捕まれば追放か死ぬのにやめられない、心中もはやる。文左衛門が今、生きていたら、ゴシップ記者かエッセイストかあるいはYouTuberか。当時の普通の人の生活がよくわかる。2021/11/13
夜の女王
32
元禄、百石取りの尾張藩士、朝日文左衛門の日記。表題には御畳奉行とあるけど、仕事の話はほとんど出てこない。自分の趣味(酒、食いもの、スキャンダル、芝居、女)の話ばかり。特に城下の事件の記述が面白い。時世柄流行の心中や火付け強盗殺人が多いのが目に付く。中でも前をはだけた女性の描写になると、筆が走ってるように思えるのは気のせいばかりではないだろう(笑)。好奇心旺盛、行動的、筆まめな文左衛門は現代なら良いルポライターになったろうに、残念!とはいえ、こんな男でも大過なくお役を務めあげたのだから、お侍には良い時代だ。2019/11/02
小鈴
31
関ヶ原から100年。力でのしあがった武士はサラリーマンとなり、酒をのみながらの9日に1回の夜勤から元禄に普及した御畳奉行に栄転すると3日に1回の仕事に。主税町にお引越し。泰平の世だからなのか。尾張藩士・朝日文左衛門は27年間日記を書き綴る。打つ飲む買う、悩みは妻と妾のヒステリィ。芝居好きのゴシップ好き。盗賊事件や市中の噂、心中現場にかけつけ、4代藩主の生母本寿院の淫乱な様子、押し込め後50代になった彼女が白髪を振りかざし木を登り叫ぶさまで書きつける。私人としての日記だからこそ赤裸々に当時の様子を描く。2017/09/19