中公新書
茶の世界史 - 緑茶の文化と紅茶の社会

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  • サイズ 新書判/ページ数 225p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121005960
  • NDC分類 619.8

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

KAZOO

129
角山先生の「時計の社会史」に続く経済史ものです。これはお茶というものがどのようにして紅茶と緑茶の文化に別れたかを詳しく分析してくれています。私は両方のお茶とも好きですが、最近は両者にも様々な種類が増えて香りや味の違いを楽しめるようになりました。その両方のお茶についての歴史的な役割などが書かれていて楽しめます。2016/01/04

skunk_c

56
中公新書屈指の名著。旧版で20年ぶりかの再読だが、柔らかく読みやすい筆致、人々の生活感が目に見えるような描写、しかもきちんと史料吟味をしてある上、世界システム論の枠組をしっかり意識(でもことさら目立つことはない)して構成されているのは見事。第1部はイギリス・中国・インドに日本を絡めて、アジア三角貿易を中心に語り、第2部は日本の茶業が明治以降世界市場で悪戦苦闘する様を描いていて、この対比から19世紀が立体的に見えてくる。歴史書ながら現代世界を理解するための必読書と思う。緑茶に砂糖ミルクを試してみたくなった。2019/12/02

Gotoran

47
西欧でお茶が普及していく過程とその過程への日本の関わりが記されている。第一部では、茶の湯に代表される日本(東洋)文化への憧憬とともに、西欧に持ち込まれた茶が特に英国で国民的な飲み物として普及していくプロセスが世界史の中の大航海時代や帝国主義と関連させて考察されている。第二部では、開国直後の日本が茶を主要な輸出品として官民挙げて国際市場へ売り込みを図った顛末が記されている。茶の歴史を通して文化の変遷と経済の仕組みをも学ぶことができた。非常に興味深くかつ面白く読むことができた。2018/09/26

ホークス

34
思い込みや誤解を次々に覆してくれる良書。コーヒー、チョコレート、茶の三飲料は同時期に欧州に来た。紅茶文化となったイギリスは武力と産業革命によって茶を確保したが、その原動力は奴隷農業による砂糖の利益だった。砂糖は紅茶に不可欠でもあり、幾多の奴隷の命が茶の普及を支えた事になる。文化でもある茶の歴史が血にまみれているのは、人間が文化に依存しながら、貪欲に奪う生き物でもある事と符合する。奪わないのは善良だからではなく、切実に欲していないか、誰かに奪わせているに過ぎない。歴史の苦味を生きる道しるべに出来ればと思う2016/05/02

非日常口

30
日本人は今も昔も白人に弱いと思う。が、16世紀の欧と亜では、アジアが豊かであり欧は畏敬を持っていた。蘭と長崎を窓口に日本は鎖国時代に交易をして最新の情報を取り入れたのだと思っていたのだが、日本の銀と茶がどうやら蘭を強くしていた。英蘭戦争の転換。蘭から英の東インド会社へシフト。コーヒーハウスが英で流行しマガジンや政党が生まれた話は有名だが、ではなぜ今はティーなのか、ようやく本書で疑問が解けた。緑茶の精神、紅茶の奢侈。茶の帝国主義はやがてボストンへとつながる。後半は生糸に並ぶ明治の日本茶輸出の重要性が面白い。2016/02/16

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