中公新書
ある明治人の記録 - 会津人柴五郎の遺書

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  • サイズ 新書判/ページ数 162p/高さ 18cm
  • 商品コード 9784121002525
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C1221

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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

TATA

62
鶴ヶ城落城時は9歳。会津藩士の子である柴五郎は母、姉妹を失いその後下北へ。苦難の時を経てその後陸軍大将となるが、本書はその生涯のうち幼年学校迄が描かれる。まず飛び込んでくるのが戊辰戦争以後の悲惨な受難の日々。残された家族と青森で過ごす頃はやはり厳しい。忍従の日々の中でも、薩長に対するいつか必ずという強い思いと会津武士の子として武士道を捨てなかったことが後の人生を切り開いたのだなと。長く読み継がれるべき名著です。2018/07/14

kawa

54
義和団事件に際して列国籠城軍のリ-ダ-として世界から賞賛を浴びた柴五郎氏の前半生の記録。悲惨な会津藩始末記の様相だが、征服される側から見た明治革命の実態がリアルに浮き上がる。過去に自分が読んだ歴史関係の書籍でも一級の衝撃度。長命した氏は、その後の軍後輩による中国における史上まれに見る愚挙を嘆いていたというが、明治以降の日本の近代史を考えるのにも好適。なお、氏の記録は公開する目的で著したものではなく、たまたま筆者との縁から陽の目を見たもの、義和団事件も語ることがなかったという氏の謙虚な姿勢が素晴らしい。2021/01/08

Willie the Wildcat

44
視点。史実の”実”を問う。強弱vs.正誤。西南戦争時の旧会津藩士間の心情の対比。加えて、様々な人間で構成される組織。官軍に追われ、救われた柴五郎翁。義の意味、解釈も心情次第かもしれない。但し、心の傷が癒されることもないと推察。人生の山谷から見出す心の折り合いではなかろうか。視野を広げ、史実を見極める眼を育みたいと感じる。2014/10/22

かっぱ

42
勝てば官軍負ければ賊軍。幕末の会津藩は逆賊の扱いを受け、薩長を中心とした新政府軍から攻撃を受け、戦後処理として藩ごと流罪されるような形で、斗南藩として青森県下北半島へ移され、米の育ちにくい土地で飢餓と冬の寒さに打ち震える生活を余儀なくされる(死んだ犬の肉を幾日間も食べる話が出てくる)。柴少年にとって幸運だったことはこの生活は1年程しか続かず、青森県庁での仕事を得てから、東京へ行き、ここでも苦労はするが、持ち前の負けん気(本人は内気でひがみ根性があってと自省されてはいるが)で、自分の力で道を切り開いていく。2016/06/12

佐島楓

42
会津藩士の家に生まれた柴五郎氏の自伝。幼くして戦乱に巻き込まれ、祖母や母、姉妹を自刃によってなくし、極貧生活を余儀なくされ、下僕として自尊心を踏みにじられる。筆舌につくしがたいとはまさにこのことで、凄惨極まりない光景を五郎氏は目撃したのである。世の中の矛盾、非道、無情、さまざまなことを考えながら読んだ。五郎氏は運よく生き延びることができたが、自分の意思以外の原因で苦しみながら亡くなっていかれる方は世から絶えない。幕末という時代も、案外現代に時間的に近いものなのだ。2015/03/26

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