感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
羊山羊
6
ヘーゲルを知る新書。この手の王道の総論への入口は岩波・中公新書に限る。今まで勉強するべきと思いつつ敬遠してきたが、いざ知ろうとするとポイントは至極単純だ。ヘーゲル哲学はA=非Aである、という矛盾も含めて一つの存在である。Aと非Aを繋ぐ関係性こそ重要なのだ。字面だけなら難しそうだが、現実でもよくあることで、現実的に全ての両立は不可能だから和解や妥協を見せる。そしてまた次の問題を解決してゆく。こうしてみると、今までは厳格一辺倒の哲学に現実をブレンドした柔軟な形を与えたのがヘーゲルなのだ。面白い、良い1冊だった2019/08/11
aki
2
ドイツ哲学の巨峰、ヘーゲルの人生と思想をコンパクトに紹介した本。キルケゴールは「実際はあれかこれかという選択しかない」としてヘーゲルの「あれもこれも」の弁証法を観念的と批判したが、むしろキルケゴールのほうが観念的だ。たとえば、企業の場合、品質かコストかというジレンマに常に悩まされているが、どうにかして品質を維持しながらコストダウンを図っている。コストを考えない品質、品質を考えないコストはない。ヘーゲルは現実に即しての弁証法的解決を唱えたのだ。ギムナジウム校長としてマネージメントに苦労した経験によるのかも。2011/06/19
K.H.
1
これまで『精神現象学』を読もうとして何度挫折したかわからない。そろそろ手引きが必要かな、ととりあえず本棚から一冊手にとってみた。前半は伝記の紹介になっていて、ヘーゲルの生涯に興味を持ったことがなかったので、新鮮な気持ちで読めた。特に親友シェリングとの関係では、良くも悪くも鈍感で平凡な男だったんだな、と感じた。肝心のヘーゲル哲学への手引きとしては、残念ながらほぼかじったことのある内容で、あまり実になるところはなかった。そしてとにかく『精神現象学』をまず読め、と説かれた。仕方ない、もう一度挑戦してみようか。2021/10/02
しょ~や
1
彼の哲学について大まかに知ることができたように思う。思想の背景となる歴史を知ることができたことは、ヘーゲルに関わらず有益であった2010/09/13