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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
アポトキシン
29
とても難しかったが、無事読了することが出来て良かった。この本は数多くの学者や政治家、思想家の文献を引用しており、しっかりとしたエビデンスをもって書かれていると感じた。私がこの本を読んで学んだことは、現在の事実を知る上で新聞に勝るメディアは存在しないこと、武力を保持しないことは全ての国々にとって理想ではあるが、それでは隣国の介入や世界情勢の変化に対応できないことである。そして、最も印象に残った一文は、「他国を羨望しないことは、平和な国家の重要な条件」である。(続く)2025/04/22
逆丸カツハ
24
リアリズムに徹しながら希望を捨てることなく平和を希求する姿勢に感銘を受けた。肝要な部分は全く古びていないどころか、今こそ、このような姿勢はアクチュアルに必要とされているのではないかと思う。そこにたどり着けない現実を凝視しながらも世界平和を目指すアプローチは、永遠平和を統整的理念として目指すカントの思想の具現化に近いものがあるのではないかと思った。2024/01/08
masabi
23
【要旨】国際政治における基本的な視座を考える入門書。【感想】1966年に初版が出版されたので冷戦下という特殊な状況だったことを踏まえなければならない。だが、本書の基本的な視座は今でも有効なのではないか。国家以外の主体も国際政治に影響を及ぼし始めたが、依然として国家間の関係性が主題であることは変わらない。 2017/06/08
白義
22
国家間の平和の前に立ちはだかる三つの要素、すなわち力、利益、価値が国際社会の中でどう働き影響力を持つかを描くことによって、平和へと至る細い線を照らし出すまさに基本的名著。軍事力による勢力均衡、経済交流による相互発展、理念による平和、そのどれも単独では平和へと至るには心もとないばかりか、固有の危険性をも孕んでいる。そうした現実の困難を冷静に分析し、不治の難病を治療する医師のような粘り強さで徐々に国際法や国際連盟の力を高めていこう、という姿勢が高潔で背筋がただされる2013/12/29
しゅん
16
戦争がどうしてなくならないか、武力放棄や自由経済や国際連合の限界はどこにあるのかを一つ一つ説いていく。力関係の均衡というはなはだ危うい状況を保つ以外に方法はない。著者にとって、戦争は人類にとっての宿痾、不治の病としてあるが、それでも戦争をなくすことを努め続けなければいけない、というのが本書の結語を成す。最後の最後にチェーホフの名がでてくるが、たしかに本書の視座はチェーホフの小説を思わせる。ホイジンガの「遊び」に関する文が前半の章のエピグラフに使われていたのが、なんだか印象に残っている。2024/07/03
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