感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kenitirokikuti
6
1964年刊行。岩本裕は戦前の京大文学部梵語学梵文科卒で、仏教者ではないひと。第4章「佛教とセックス」は、出家者に科せられる「律」の第1番目「婬戒」を扱う。佐々木閑『「律」に学ぶ生き方の智慧』はこの婬戒を含む禁止規定に対して肯定的だが、本書は批判的である。釈迦は「たとえ火の中や蛇の口に男根を入れたとしても女陰には入れるな」と語るが、後の仏典には妻帯する僧が記録されている▲蓮華色尼という釈迦も賞揚する尼僧がいたが、過去の知り合いに強姦された。釈迦の判断は、快楽を感じないときは戒を破ったことにならない。2018/02/04
NICK
3
日本に仏教がどう伝わりどう受容されたかを知りたかったのだが、この本の射程外だった。とはいえ、ブッダ本人の思想を中心に据えた内容はなかなか面白いところもあった。西洋の思考様式は、旧約聖書の出だしが「~があった」とあるように、有(存在)ということを主軸にしているイメージがある。対してブッダの教えは「~ない」という否定、無の連鎖であり、まぁブッダ自身はキリスト教と違って超越的な存在を志向していたのでないということを念頭においても、この差異は実に興味深い。2011/08/31
とりぞう
0
現状の研究状態にいろいろ不満があるのだろうけれど、そういう文句ばかり目立って、検証が甘い印象。あまり面白くない。2009/12/24