出版社内容情報
民社党や同盟の系譜はいかに形成され、それは今どのようなものになっているのか。
民主社会主義を標榜した彼らの理念の行方をたどる。
多くの政治運動や保守・右派勢力に関与する現状から見えてくるものは――。
内容説明
労働運動と右派の奇妙な交錯、その軌跡を描き出すノンフィクション。時に自民党よりもタカ派の政策を打ち出す一方、行革などで存在感を示した民社党。彼らは何をめざし、そして連合や国民民主党、保守派国民運動などにいかなる影響を及ぼしているのか―
目次
第1章 民主社会主義の系譜をたどって
第2章 スタートでつまずいた民主社会党
第3章 独自性を模索した先の右旋回
第4章 「行革与党」で走り抜けた1980年代
第5章 同盟の解散、民社党の解党―敵が消えた世界
終章 保守派との融合とこれから
著者等紹介
藤生明[フジウアキラ]
ジャーナリスト。1967年埼玉県生まれ。91年、朝日新聞社入社。長崎支局、筑豊支局などをへて、AERA編集部へ。10年余り在籍し、記者・デスクとして石原都政、右派言論のほか、創価学会などの宗教分野を重点的に取材。新聞編集局に戻り、大阪社会部で「橋下現象」を取材した後、2014年から東京社会部で専門記者として「右派全般」を担当し、編集委員を務めた。23年、独立(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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稲岡慶郎の本棚
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
キク
43
僕は昔から、政治や宗教や組織運動とは距離を置いてきた。かなり意図的に、わりと徹底して。それはゴキブリに対して嫌悪感を抱く人に近いかもしれない。理由は分からないけど、本能が「それには近づくな!」と最大級の警報音を響かせる。でも、うっすら思い当たる節がなくもない。僕は「60年代の政治と熱狂の時代」に傷を負った作家達の声を聞いて育った。柄谷行人、村上春樹、村上龍、高橋源一郎、橋本治、、、。いろんなものから逃げてきたけど、時代からは結局逃げられないってことなんだろう。僕はもう、それらと向き合うべき時期なんだろうな2025/04/30
ア
8
日本会議など右派の人物・団体についての著作で知られるジャーナリストによる民社党史。特に労働組合との関係、自民党や右派団体との関係などについての記述がおもしろい。 「要するに民社系とは、キリスト教人道主義の社会民衆党・総同盟の系譜と、「闘う自由主義者」河合栄治郎門下と、獄中転向組の元共産党関係者、愛国労働運動に連なる勤労者が終戦直後の「革命前夜」、反共の旗の下に合流した一群。および、それに連なる人々であると書いたら単純化しすぎだろうか。」(あとがきより)2025/03/30
みんな本や雑誌が大好き!?
2
朝日記者ともあろう方が(?)、民主社会主義ならびに民社党の歴史に関して、こんなに客観的な記事を書いて大丈夫だろうかとさえ思ったものでした。 そんな方が、退職してから(さすがに?)まとめたのが,この『反共と愛国 保守と共棲する民社社会主義』です。記事に書いたものも加筆などして収録されている感じです。この本は、要は「評伝・民社党」ですね。客観的に書かれています。 それもあって、本書にも登場する元民社党の職員でもあった荒木和博さんも、YouTubeの番組で本書を好意的に紹介していました。 2025/03/31
金吾庄左ェ門
2
民主社会主義とは、イギリス労働党のフェビアン主義を源流とし社会主義とは違うそうです。民社党はなくなりましたが、その流れは続いています。理論的な面では、あの人もこの人も関係が深かったのですよと民明書房的な怪しさも伝わってきました。政策面では、防衛や原発でその重要性を理解しており、教科書問題にも早くから取り組み、北朝鮮の拉致事件や共産党のリンチ事件をいち早く掴み、創価学会や統一教会の危険性も早くから見抜いていましたが、その勢力は拡大する事はありませんでした。リベラルなナショナリスト達と呼ぶべきですかね。2025/03/09
辻井凌|つじー
1
今もなお影響を与える「民社党的なもの」を党の歴史だけでなく、それ以前の日本の社会主義の成り立ちまでさかのぼって読み解いている。ソ連を知らない世代の自分は「反共」に実感がわかない。この本が「反共の社会主義」の実像を知る鍵になってくれる。2025/03/11