出版社内容情報
カフカの短い言葉は俳句のよう――
「鳥籠が鳥を探しにいった」「体の真ん中に毛糸玉がある感じ」等、20世紀の文豪がのこした断片80首を、自由律俳句のように味わう鮮烈なカフカ入門。
カフカの短い断片を新たに訳し下ろし、小宇宙のような深みを楽しめる解説つき。
時代や場所を越え、カフカの世界を縦横無尽に感じられる一冊。
内容説明
手紙や日記などの遺稿から精選80句+解説。九堂夜想(俳人)との特別対談収録。
目次
カフカ俳句 80句
巻末対談 九堂夜想(俳人)×頭木弘樹(編訳者)
著者等紹介
頭木弘樹[カシラギヒロキ]
文学紹介者。筑波大学卒。大学3年の20歳のときに難病になり、13年間の闘病生活を送る。そのときにカフカの言葉が救いとなった経験から『絶望名人カフカの人生論』(新潮文庫)を編訳。その後、さまざまなジャンルの本を執筆している(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
シナモン
90
カフカの言葉を俳句に見立てて味わう一冊。 ページをめくっていくと刺さる言葉に慰められたり、ハッとさせられたり。自分の感情の揺らぎを楽しめた。カフカだから当たり前なんだけど「元気を出そうよ」って励まされないのがいい。ちょっと心が沈んだ時にまた開いてみたい。 2025/04/14
優希
44
カフカの言葉を俳句として読む本です。カフカは常に絶望の中にいて、そのままどう生きていくかを考えていた人なんですね。カフカが好きなのはそういうところなのだと改めて感じました。面白かったです。2025/02/27
yumiha
38
自由律俳句?一行詩?短い断片の引用だから、いかようにも自分に引き寄せられるし、広くも深くも伸縮自在。なるほど、これが俳句や川柳など短詩系の魅力だったのか、と今更思い至った。また、『呼びにゆく』(佐藤みさ子川柳句集)を連想した。たとえば、「まっすぐに立つ不安」→「正確に立つと私は曲がっている」、「永遠のよるべなさ」→「たすけてくださいと自分を呼びにゆく」、「眠っているうちに夢を見失った」→「バラバラに壊れた『これは夢だもの』」などなど。みさ子さんにお会いする機会があれば、カフカについて話してみたい。2025/06/20
マカロニ マカロン
14
個人の感想です:B+。読書会で紹介された本。「カフカ俳句」とは勿論カフカ氏が俳句を詠んだという意味ではなく、ノート、日記、手紙、小説の中の短いが味わい深い文を俳句に見立てたもの。前後の文脈が分からないので、どれも酷くネガティブな句が多い。「まっすぐに立つ不安」、「可能性が息絶える」、「わたしは傷つき、ずっと傷ついたまま」、「耳にひしひしと迫ってくる孤独」暗いが何かわかる、尾崎放哉氏の「咳をしても一人」に通じると著者は言う。「わたしの中のふたり。出かけたがるのと ひきこもりたがるのと」これもわかるなあ😄2025/06/03
ひやしなむる
4
私はカフカが好きだ、と言ってしまっていいのだろうか。そんなことをいつも悩む。何故なら、私はカフカの著作を読んだことがないからだ。こういった本しか読んだことがないからだ。カフカの言葉を紹介してくれる本を読み、そこに添えられた言葉を読む。私とカフカのふたりで出かけるのは難しいから、カフカと仲の良い友達に頼んで、そのふたりのおでかけに同行させてもらってるような、そんな気持ちだ。まだ緊張しちゃうけど、いつかカフカとふたりでお話しできるようになったらいいな。そんな気持ちが強くなった一冊でした。2025/06/03